統合失調症は五感に異常をきたすことが観察されています。五感とは「視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚」を指します。
たとえば、実際には誰も話していないのに、 周りの人が小さい声で自分の悪口を言っている、 自分に命令する声が聞こえる、話しかけてくる声がするというのです。
ときには、自分の考えていることが声となって聞こえることもあります。 これらは耳に関係した「幻聴」です。
ほかには、 「自分は狙われているので、この地下鉄は毒ガスのにおいがする」 というような鼻に関係した「幻臭」があります。
「自分に危害を加えようとしているやつが 飲み物に睡眠薬を入れているので変な味がする」 といった舌に関係した「幻味」もあります。
「いつも誰かに触られている」といった触覚に関係した「幻触」。
「部屋中、変な虫がいっぱいいる」といったような目に関係した「幻覚」。
どれも、統合失調症の患者からすれば、「実際に体感している」ので、 他の人がそうではないといってもなかなか通用しないのです。