アルツハイマー患者の助けになる

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痴呆症のいずれかを患う人たちにとって何よりも必要なのは、尊厳と敬意と自尊心を保つということです。

他の人の前でアルツハイマー病の患者について話すとき、当人がその場にいるなら、まるでその人が居合わせていないかのような話し方をするのはよくありません。

患者は、話の内容を理解できないとしても、何となく疎外されていると感じ、侮辱されたと思うかもしれません。

実際、アルツハイマー病の人の中には、ほかの人が自分について何を話しているのか分かる人もいます。

例えば、兵庫県に住むMさんは妻と共にアルツハイマー病のある集まりに出かけました。後にその男性は次のような感想を述べました。

「そこでは介護者たちに、何をどのように行なうべきかが教えられていました。ショックだったのは、わたしがそこにいたにもかかわらず、だれも患者については話さなかったということです。…とても腹立たしい思いをしました。アルツハイマー病のわたしが言うことなど問題にされないのです。だれも耳を傾けてくれません」

積極的であるようにする

アルツハイマー病の人の尊厳を守るために助けとなる積極的な方法はたくさんあります。以前は難なくこなせていた日常の事柄を続けるために援助が必要になっているかもしれません。

例えば、患者がまめに手紙を書いていたのであれば、一緒に座ってあげて、友人からの気遣いの手紙に対して返事を書くのを助けることができるかもしれません。

アルツハイマー病の人を援助するためにできる他の実際的な方法があるでしょうか。一緒にできる、有意義で生産的で簡単な事柄を見つけるのが助けになります。

皿洗いや皿拭き、床を掃くこと、洗濯物をたたむこと、料理することなどが考えられます。もしかしたら、アルツハイマー病の人は家全体を掃除することや食事を全部準備することはできないかもしれません。

しかし、そうした能力は普通、徐々に損なわれるものです。まだ失われていない能力を活用し、それができるだけ長く保たれるよう助けることができます。そうするなら、愛する人の自尊心を守ることにもなります。

アルツハイマー病の人が行なった仕事が不十分なため、もう一度床を掃きなおしたり、皿を洗いなおしたりしなければならないことがあるかもしれません。

それでも、自分は役に立っていると引き続き感じられるようにしてあげれば、患者は生活から満足を得ることができます。

仕事が一定水準に達していなくても褒めるのは患者にとってプラスになります。衰えてゆく能力の範囲内で最善のことを行なったということを忘れてはなりません。

アルツハイマー病の人は、安心感を与えてくれる言葉や褒め言葉を絶えず必要としています。様々な活動を首尾よく成し遂げることがだんだん難しくなっている場合はなおさらです。

79歳の夫がアルツハイマー病である和田さんはこう述べます。

「アルツハイマー病の人は、自分は役立たずであるという気持ちにいつ何時襲われるか分かりません。予測できないのです。介護者は、患者が『良くやっている』ことを温かく伝え、すぐさまその人を安心させる必要があります」

わたしたちは皆、仕事をうまくやっていると言ってもらう必要があります。痴呆症の人にとってこの必要は特に大きいのです。