アルツハイマー病 施設に入れるべきか

施設に入れるべきか

残念なことですが、アルツハイマー病の人の症状が悪化すると、本人を自宅から親戚の家や介護施設などに移さなければならないかもしれません。

しかし、慣れ親しんできた環境から患者を移すことを決める前に、幾つかの重要な要素を考慮しなければなりません。

引っ越したために患者は場所に関する見当識をひどく失う可能性もあります。

ある患者の例を考えてみましょう。

そのアルツハイマーの女性は、あてもなく歩き回ったり、時には迷子になったりしていたにもかかわらず、どうにか一人暮らしを続けていました。

しかし、家族は、もっとよく監督できるよう近くのアパートに引っ越してもらうことにしました。

残念ながら、その女性は新居を自分の家とみなすことができませんでした。

…かわいそうなことですが、新居に落ち着くことができず、その新しい環境で活動できなくなったため、実際には、それまで以上に他の人に依存するようになりました。

台所は慣れ親しんできたものとは異なりました。

新しいトイレまでの行き方を覚えることができず、失禁するようになりました。

全く良い動機から行なわれたことが、本人にとっては災難となり、結局、養護施設に入れられることになったのです。

ほかに選択肢がないように思える場合

しかし、アルツハイマー病の人を介護施設に入れる以外、取るべき道がないように思える場合はどうでしょうか。

確かにそれは簡単に決定できることではありません。

実際、それは介護者に「極めて大きな罪悪感を抱かせる」決定であると言われています。

介護者はしばしば、自分は失敗して、愛する人を見捨てるのだと思ってしまいます。

それが自然な反応ですが,罪悪感に苦しめられるのは、自分への罰として、正当なことなのでしょうか。

もしかしたら、罪悪感はよく考えてみることにより、軽減できるかもしれません。

最も大切なのは患者の介護と安全を考えることではないでしょうか。

そして、患者にとって何が最善か、できる選択の中から、苦しいながらも最善の決定をしたのではないでしょうか。

もちろん、介護する側が、自分にはもはや感情的な余裕がなく、患者の病状が家では介護しきれないほど悪化したと判断するのは、非常につらいことでしょう。

それでも、自分たち特有の状況における要素をすべて検討した上で、介護施設に入れるのが、…本人にとって一番良いと結論する介護者がいるのももっともなことです。

そして、こういう事情がある限り、他の人たちは当人たちが下した決定に関し、とやかくいうべきではないのです。