マタニティー・ブルーと産後うつ病の違い

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産後は昔からうつ病の発症しやすい時期と言われています。周りから見ても、口数が少なくなったり、元気が無いように見える場合があります。

本人にしてみても、特にこれといった理由もなく、産後にちょっとしたことで悲しくなって涙が出てきたり、気が滅入ったり、元気が出なくて、赤ちゃんの世話をすることさえおっくうになったりします。

原因として、妊娠中はエストロゲンやプロエストロゲンが大量に分泌されるのに対し、出産により、それらが急激に減少します。

このホルモンの大きな変動がストレスに対する抵抗力を低下させ、情緒不安定になるのです。だいたい産後3日から10日目ごろには、半数位の人が軽いうつ状態を経験すると言われています。

うつ病ではないものの、この軽いうつ状態のことを「マタニティーブルー」といいます。マタニティーブルーは、時の経過と共に軽くなり、1週間ほどで自然に治ってゆきます。

しかし、中には、本格的なうつ病に発展し、治療が必要な「産後うつ病」になるケースもあります。

マタニティーブルーと産後うつ病の違い

産後うつ病を、産後によく見られる気分の浮き沈みと混同してはなりません。産後の気分の変化で、最も多く見られるタイプのものは、今日「マタニティーブルー」として知られるようになっています。

出産する女性の約50%は,涙もろくて情緒の不安定な変わりやすい状態を経験します。この状態は、産後三日ないし五日でピークに達し、数週間のうちに徐々に消失するのが普通です。

妊婦のホルモン値が産後に変化するため、こうした気分の変化が生じるのではないかと考えられています。

産後うつ病は「マタニティーブルー」とは違い、憂うつな気持ちが出産時、あるいはその数週間後や数か月後に始まって、長期にわたります。

新しく母親になったばかりで、こうした状態にある女性は、気分が高揚しているかと思うと、次の瞬間には自殺したいと思うほど憂うつになることがあります。

それだけでなく、いらいらしたり、腹を立てたりするかもしれません。自分はだめな母親だという気持ちに絶えず悩まされたり、子どもへの愛情が感じられなかったりする場合もあります。

うつ病と診断された母親の中には、子どもを愛していることを頭では分かっているものの、無関心、苛立ち、嫌悪感といった感情しか持てない人がいます。

信じ難いかもしれませんが、子どもを傷つけることを考える人もいれば、殺すことについて考える人までいるのです。

産後うつ病は古くからある病気です。西暦前4世紀の昔に、ギリシャの医師の観察によると、出産後に精神面で劇変する女性たちがいたとのことです。

また、国に関係なく、多くの国で母親の10%から15%が産後うつ病を発症しており、この病気は深刻な問題となっています。

しかし残念ながら、ほとんどの場合、そうしたうつ病は、正しい診断が下されることはなく、適切な薬物治療が行なわれることもありません。