境界性パーソナリティ障害 自分のことがよくわからない

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人間というのは、今までの人生の中で体験してきたことや、学んだこと、 自分がもっている様々な性格、長所・短所、好き嫌い、目標、感じ方、考え方などを総合して「自分はこういう人間」と言えるようになります。

しかし、境界性パーソナリティ障害の人の場合、 こうした自分の全体像を描けずにいます。心の中に確かな「自分像」がないため、 自分に対するイメージもよくわからず、 相手しだいでよくなったり悪くなったりします。

過去の自分と現在の自分が結びつかない

人間は学習機能を備えており、今まで生きてきた中で、 学んだことや会得してきたことを今後の人生にプラスになるよう活かそうとします。

しかし、境界性パーソナリティ障害の人の場合、 過去の自分と現在の自分の間につながりを見いだすことが難しいようです。その正式な診断基準の一つは「同一性の混乱」というもので、不安定な自己像や自己意識があるとされています。

ですから、その場限りの考え方や価値観を示し、 目標や仕事がコロコロ変わったりすることもあります。体験の記憶が特殊で、 体験したこととその体験から生じた感情の記憶がそれぞれ別々に存在しています。

叱られた体験とそこから生じた悲しい気持ち、 可愛がられた記憶とそれから生じたうれしい気持ちがセットではなく、 バラバラに存在しているのです。

自分の中でバラバラになって存在しているため、 過去の自分と現在の自分の間に一貫したつながりを見いだすのは難しくなっています。

統合されたイメージは苦手

健康な人の場合、自分の中に、 「よい自分」と「悪い自分」がいることを知っています。「自分にはこういう良いところがあるが、残念ながら、こういう悪い部分も持っている」 …というふうに、良い部分と悪い部分を同時に意識できます。

しかし境界性パーソナリティ障害の人の場合、 自分像が未発達なため、統一されておらず、 自分にある「良い部分」と「悪い部分」を同時に意識することができません。そして「良い自分」、「悪い自分」がどういうものか、的外れなこともあります。

「良い自分」、「悪い自分」を同時に自分の中にあるものとして意識できず、 どちらかが意識されると、もう一方は意識されにくくなっています。

ですから、自分のことを「限りなく醜い人間」か「限りなく良い人間」と二分化して考え、 しかも、すぐに流されて見方が変化しやすいので不安定です。

ただ、「自分のことがよくわからなければ、必ず境界性パーソナリティ障害」かといえば、そうでないこともあります。他の心の病気の症状にも未発達で不安定な自己像・自己意識というものがあるからです。

どうしてもはっきりさせたい場合は一度、診療内科や精神科などを受診し、専門の先生の意見を尋ねてみましょう。