引きこもりの男性4人に1人が発達障害の可能性

引きこもり

ずっと家にいて、働くわけでもなく、外へ出かけてゆくわけでもない「引きこもり」。

この引きこもりの男性のうち4人に1人が発達障害かもしれないという調査結果が出ました。

調査を行ったのは、徳島大学大学院の境泉洋准教授らのグループです。

境准教授らは、これまで8年間にわたって、引きこもり当事者や家族に大規模調査を実施してきました。

今回、引きこもりと発達障害の関連を調べるため、2010年7月から9月にかけて、全国の引きこもり家族会や当事者の集まりなどで調査用紙を配布。

その場で回収(一部は郵送によって回収)する方法によって、調査を行いました。

調査対象者のうち、協力が得られた回答者は、引きこもり本人82人と家族332人です。

今回の調査の中で注目されたのは、広汎性発達障害の可能性を調べる「AQ-J-16テスト」の得点結果です。

広汎性発達障害とは、コミュニケーションに支障のある人たちで、自閉症やアスペルガー症候群なども含まれます。

引きこもり本人の調査結果を見ると、広汎性発達障害の可能性が高いと思われる11点以上の人が男性は16人でした。

男性全体の26.3%で、4人に1人以上という高い割合を占めました。女性は3人で、女性全体の15.8%でした。

発達障害の人が日本人全体の平均が1%前後とされていることを考えると、引きこもり本人の中に、広汎性発達障害の可能性のある人が4分の1以上の高い割合で含まれていることは、注目に値します。

確かに、本人がある程度自覚して訪れるような精神保健医療機関のデータではないので、興味深い結果といえるかもしれません。

調査内容

父母などによる代理回答によりますと、「新しい状況は、本人を不安にする」と答えた人が最も多い第1位で、78.4%に上りました。

続いて第2位は、「一度に2つ以上のことをするのは簡単だ」に対して「いいえ」と答えた人で、69.9%でした。

この2つの質問は、発達障害の特徴である「注意転換の困難さ」に関するものです。

一般の人に比べて、何かをしながら別のことをやるような、「注意の配分」を苦手とします。

そして、機転が利かなくなり、コミュニケーションや臨機応変さが弱くなります。

こうした注意転換の困難さが、引きこもりと何らかの関係があると考えられます。

そして、第3位は、「自分がモノよりも人に強く惹きつけられていることに気が付いている」に「いいえ」と答えた人で60.6%でした。

つまり、人と関わるよりも、モノに関心が行きやすいのです。話をしているときも、周りの風景ばかり見ている傾向があるといいます。

人よりも物に関心があるのも発達障害の一つの特徴です。

ちなみに、第4位は「物事を自発的にすることを楽しむ」に「いいえ」と答えた人で、59.6%。つまり、自主性の問題です。

過去に邪魔される現在

「誰か、あるいは何かに対して、強い恨みを持っていることはありませんか?」の問いには、「ある」と答えた人は112人で、全体の33.9%に上りました。

その内訳は、「学生時代のいじめ」26.8%、「父親」19.6%、「両親」17.9%、「母親」16.1%、「会社や上司」7.1%と続きました。

この質問も、注意転換の困難さと関係しています。

思い浮かべる記憶を再体験し、それに囚われてしまい、気持ちを次に切り替えられなくなってしまいます。

「視覚や聴覚に異常を感じたことはありますか」の問いに、「ある」と答えたのは72人で、全体の21.7%でした。

その内訳は、聴覚46.9%、視覚56.3%、嗅覚9.3%。「服装にこだわりがある」と答えた人は79人で、全体の23.7%です。

感覚に対して敏感で、記憶によって想起される感情に対しても敏感になっていることがわかります。

こうした敏感さも、発達障害に起因する場合があると考えられます。

今回の調査により、引きこもりの背後にある発達障害という影の存在が見え隠れしてきました。

今後ますますこの分野での研究調査が進み、さらにその関連性やよい対策案などが明らかになると期待されます。