摂食障害 pica―洗剤がおいしい

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妊娠すると女性の体は様々に変化しますが、食の好みに変化が出るのもその一つです。すっぱいものが食べたくなるという説はその中でも有名です。

ところが、イギリスのバーミンガムに住む26歳の女性は、なんと家具につやを出すための洗剤を食べるようになったというのです。

1日に3回洗剤を食べることが習慣になってしまった彼女は医師にかかり、摂食障害の一種との診断を受けました。

中学校のアシスタントをしている妊娠7カ月のエマ・ベネスさん(26歳)は、お腹の中の赤ちゃんに良くないのではないかという自分の不安な気持ちに反して、家具のつや出し剤に、なぜか食欲を感じています。

最初に食べたあと、エマはもう二度としないと決意していましたが、その後もつや出し剤へのものすごい食欲が起こり、シンクの下の収納の中にしまってある彼女の「おやつ」を探さざるを得ませんでした。

いったん考え始めてしまうと忘れることができなくなるのだそうです。退屈なときやストレスを感じたときはさらにひどくなるようです。

他のことに集中しているときは忘れていられますが、ひと休みして座り、テレビを見始めたとたんに、「洗剤がほしい!」となってしまい、さらに夜寝ているときも、食べたい衝動にかられて起き出してしまうほどだそうです。

洗剤がおいしい

この異常な食習慣が始まってからもう彼女はすでに洗剤を3缶を消費していて、この食欲が二度と収まることはないのではないかと不安に感じるほどだったそうです。

妊娠初期から洗剤を食べるようになり、今や食欲に負けて1日に2~3回食べなければいけなくなってしまいました。

食品ではないものを食べる習慣が始まったのは子供の頃で、そのときはお風呂で泡を食べたそうです。それ以来お風呂の泡を食べ続けているそうです。幼少期のそのような体験が大人になってからも何らかの影響を及ぼしているのかもしれません。

成長するにつれ、彼女は香りのある洗剤や抗菌作用のあるハンドソープに魅力を感じるようになり始めましたが、長女ダーシーを妊娠するまではつや出し剤を食べることはありませんでした。

エマの話では、どうしてつや出し剤が好きなのか良く分からないけれど、口のなかに広がる触感に何か関係があるのではないかということです。普通は指に少しスプレーして、それをなめるか、雑巾にスプレーしてそれを吸う食べ方をするそうです。

エマの母はこの事実を知るとすごく怒ってやめるよう言ったそうですが、面白いことに、エマの母もギャビンの祖母も、妊娠中は石炭が食べたくてしょうがなかったらしいです。

さらに、彼女にはお気に入りのつや出し剤のブランドがあるそうで、イギリスの大手スーパーチェーン・ASDAのものでないと、ほかのものは香りが強すぎるとのことです。

pica

鉄分不足にも悩んでいた彼女は、何か助けを得られないかと思い、医師にかかることにしました。

自分でインターネットで調べたところ「Pica」という摂食障害だと確信していたそうですが、主治医にはただ食べるのをやめて、代わりにチョコレートバーを食べなさいと言われただけだったそうです。

胎児にどんな影響があるか分からないため、彼女はすごく罪悪感を感じていますが、どんなにチョコレートを食べたとしても変わらないそうです。洗剤がほしいときは洗剤じゃなければ意味がないと彼女は言います。

摂食障害の支援団体Beatの広報担当によると、医師たちはもっとPicaについての啓蒙活動を行う必要があるそうです。

その活動内容として、症状に悩む人を助けるために、医師たちにこの症状や他の摂食障害についての理解を高めてもらうことを急いでいるとのことです。

担当者によると、バランスのとれた食生活をすることが大切で、もしも何か心配なことがあったら、早めに専門機関に相談するべきだということです。

このような変わった食習慣は、栄養の摂取には一切ならない上、健康への影響もありえます。特に妊娠中は、妊婦、胎児ともに、適した栄養をとることが重要だということです。

一風変わった摂食障害picaですが、まだまだ認知度が低いだけで私たちの日常生活の中に潜んでいるのかもしれません。

夜な夜な起きてきてキッチンの暗闇で洗剤を食べているところに遭遇したら、思わず大声で叫んでしまいそうです。真剣に病気と闘う彼女に早く平和な日々が訪れるとよいのですが。