アメリカ精神医学会が定めるDSM-IV-TR(2000年発行)・DSM-5(2013年発行)による診断基準によりますと、適応障害は6つの種類に分類されます。
ここでは、そのうちの2番目の「抑うつ型」と3番目の「抑うつと不安の両方を併せ持つタイプ」に注目しています。
タイプ② 抑うつ型
これは、憂鬱感、絶望感、悲哀感、涙もろさ、思考力・集中力・判断力の低下などを特徴とするものです。感情のコントロールが難しく、泣き叫んだりすることもあります。
気分障害と似ていますが、気分障害に比べると症状は軽いようです。気分障害との大きな違いは、ストレスの原因となるものがはっきりしているかどうかという点です。
では、気分障害とはどのようなものでしょうか。気分障害の代表的なものに「うつ病」があります。
うつ病も単極性、双極性、非定型などいくつかのタイプに分類されます。本題から少しそれますが、この気分障害にはどのようなものがあるのか見てみましょう。
うつ病(単極性)
単極性障害とよばれたり、大うつ病と呼ばれたりもします。これは、ほぼ一日中抑うつが続き、体力、気力、食欲、意欲、興味など様々なものがなくなります。
不眠や自責の念を伴うこともしばしばで、自殺の危険性もあります。こうした状態が2週間以上続いているかどうかがひとつの診断基準となります。
躁うつ病(双極性)
双極性障害と呼ばれたり、躁うつ病と呼ばれたりします。うつ状態と真逆の躁状態が交互に現れるタイプです。
躁状態のときに、常軌を逸した行動をとることが多くあり、社会的信用や人間関係を失うことがあります。
非定型うつ病
うつ気分が夕方に強くなりことがあります。楽しいことや好きな事は問題なくこなせますが、そうでないことにたいしては困難を覚えるようです。
過剰に眠ったり、甘いものを過剰に食べたり、体が鉛のように重いといった症状があります。
気分変調症
これは、弱い抑うつ気分が2年という長期にわたって続いている場合に診断されるものです。抑うつ的な気分ではなく、普通に過ごせる日もありますが、トータルすると抑うつ気分の日のほうが多いです。
気分循環症
これは、軽い双極性障害のようなもので、軽いうつ状態と軽い躁状態が交互に現れます。毎日どちらかの症状になることがほとんどで、仕事や学業を継続するのが困難など、社会的な生活に支障が出ます。
抑うつ型の適応障害のタイプは上記のいろいろな気分障害の特徴が現れますが、個人差があります。このタイプの適応障害は不全型の気分障害ともいえるでしょう。
ただ、アメリカ精神医学会が定めるDSM-IV-TRで適応障害は6種類に分類されていますが、抑うつは適応障害の症状としてほとんどの患者が訴えるものです。
タイプ③ 抑うつと不安の両方を併せ持つタイプ
これは、不安型と抑うつ型の両方の特徴を併せ持つタイプです。
何か原因となるストレスがあって、不安と抑うつの両方が現れ、生活に支障をきたしてしまいます。
落ち込みに加え、不安が襲ってくるため、きつい症状のひとつです。