統合失調症の発症・10~15歳がカギ

若いころが重要

統合失調症は人口の約1%がかかるもので、妄想や幻想に加え、感情が鈍ったり意欲が低下したりする精神疾患です。

遺伝的な要因や心理的なストレスなどが原因で、大半が思春期から青年期に発症すると考えられています。

2013年4月、青年期以降に統合失調症を発症するかどうかが決まる「臨界期」が、10~15歳の発達期のごく限られた早い時期にある可能性の大きいことが、東北大大学院医学系研究科によるマウス実験で明らかになりました。

これは、人間の脳の発達が思春期までに損なわれると、それ以後と比べて統合失調症を発症しやすくなるということを意味します。

統合失調症の関係する記憶や空間学習をつかさどる脳領域の海馬はストレスや低栄養などにより、神経幹細胞から神経細胞が分化する「神経新生」の機能が低下することが知られています。

実験は人間の10~15歳に当たる生後4~6週間の若いマウスに、神経新生を低下させる薬剤を2週間投与し、成体である生後10週間(人間なら20歳以降)になった時に、音に対する反応(PPI)を調べるというものです。

強弱の音に対する敏感な反応は、統合失調症に特有ものです。

(ちなみに、PPIとは…prepulseinhibitionの略.先に弱い刺激を加えることで、突然与えられた強い刺激に対する驚愕反応が抑制される現象のことです。これは、情報処理における障害の指標と考えられ、PPIの減少は統合失調症をはじめとするヒト精神疾患のみならず、動物でも測定できることから、実験などで利用されています)

実験の結果、生後4週間から神経新生を低下させる薬剤を投与したマウスは統合失調症患者と同様にPPIが低下しましたが、生後5-6週間になってから投与したマウスでは正常でした。

生後4週間で薬物投与を行なうとPPIが低下し、生後5-6週間で薬物投与を行なうとPPIが低下しないことから、生後4~6週間(人間の10~15歳)にカギがあるとされます。

ストレス解消できる環境

実験ではさらに、回転車・遊具・トンネルといった遊べる環境が整った広いおりを用意し、飼育環境を十分整え、マウスたちがストレス解消できるように工夫して、生後4週間から薬剤を投与したマウスの音に対する反応を観察しました。

すると、薬剤投与と同時に広いおりで飼育したマウスは低下が鈍かったことから、飼育環境を改良すると、症状が改善されることもわかりました。

生後6週間以降になってから環境を良くしても効果は確かめられなかったので、生後4~6週間の間(人間なら10~15歳)の早い時期に対処できれば、改善の余地があるとされています。

実験にあたった東北大大学院医学系研究科の研究グループは「強いストレスを受けるなどして統合失調症を発症するおそれのある子どもには、思春期までに対処することが重要だ」と話しています。