高齢者の適応障害

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適応障害というと学校や職場に適応できない比較的若い人を思い浮かべるかもしれませんが、高齢の方にも多く見られます。

高齢、老化とはいったいどういうことでしょうか。たとえば、歳を重ねるに連れ、今まで普通にできていたことができなくなってくることがあります。

新聞の文字が見えにくくなったり、呼ばれているのに聞こえなかったり、友人が亡くなったりと、老齢期特有の多くの変化があるものです。そうした変化にどれだけ適応できるかが適応障害になるかどうかのカギとなります。

ストレスのもととなる様々な変化

実は高齢で適応障害を発症する人は非常に多くいるのです。適応障害を引き起こす要因はたくさんあります。高齢の方は、身体の老化ゆえに脳自体の変化への適応力が低下しています。

そんなところへ、たとえば同居などで家族が移動して環境が大きく変化することがあります。同居で家族が増えることもあれば、死別や離別、巣立ちといった要素で家族が減ったりすることもあります。

また、怪我をしたり、病気にかかることによって生き方の変化を否応なしに求められることもあります。

また、定年退職などにより、人間関係の崩れから夫は孤独感にさいなまれたり、夫がずっと家にいることによって、妻のストレスになったりすることもあります。

基本的に人間は失うことによってストレスを感じるものです。そして、失ったものをあきらめて新たな状況に適応してゆく能力が求められます。

失うことは高齢者に限らず若い人でも経験するものです。しかし、高齢者の場合は若い人に比べて失うものが多いかもしれません。たとえば、失う物の中には定年退職による仕事があるかもしれません。

また、体力や若さ、健康、記憶力、家族、友人、判断力といった貴重なものが失われてゆく可能性が大きいものです。ここにあげたようなストレスとなる様々な変化に十分適応できないことにより適応障害を発症してしまいます。

本人の性格が前面に出てくる

高齢者の適応障害には、本人がもともと持っている性格の傾向が大きく影響してきます。その性格が加齢とともによりはっきりとでてくる形となります。

頑固な人はより頑固になりますし、きちょうめんな人はよりきちょうめんになります。短所がよりはっきりと出てくるようになるので、周囲の人との摩擦の頻度も多くなり、人間関係に影響がでます。

支えてもらえる人たちとの関係も悪くなり、孤立しやすくなったりします。本人がほとんど気づかないうちに状況が悪化しますので、本人にも周囲の人にもストレスを及ぼします。

こうした性格に起因する人間関係の崩れもストレスの原因となり、許容範囲を超えた時に適応障害となってあらわれます。

認知症との区別

適応障害には抑うつを伴うことがあります。しばらくの間元気がなく、引きこもっているような感じを受けたら、認知症を疑うかもしれません。

こういう症状が出ると、認知症との区別がつきにくくなります。認知症と適応障害は治療法が違うので、診断の時点で間違わないようにすることが大切です。

認知症は脳の画像を見ればはっきりと異常が認められるので判断が容易にできます。ちなみに適応障害は脳の画像を見ても健康な人との変化がほとんどみられないので認知症かどうかのひとつの判断材料となるでしょう。

また、適応障害には物忘れのひどさや話のつじつまが合わない・話を忘れているといった認知症特有の問題はないので、これも判断する一つの基準になるかもしれません。