適応障害と症状が似ている病気がいくつかあります。適応障害のどんな症状が他の病気の症状と似ているのか見てみましょう。
適応障害の症状と似ている病気
●適応障害の症状「抑うつ感」 同様の症状を持つ他の病気「うつ病」
程度の軽いうつ病と適応障害はほとんど見分けがつきません。原因となるはっきりとしたストレスがあるかないかの違いが唯一の違いと言える点です。
最近ではうつ症状がみられるとすぐにうつ病の診断が下りがちです。ですから、「うつ病」と診断されるケースのうち、じつは適応障害だったということもあります。
●適応障害の症状「不安」 同様の症状を持つ他の病気「不安障害」
両者とも症状に「不安」があります。適応障害の不安と違い、不安障害の不安は根拠となる理由がないことが多く、不安の程度も強いのが特徴です。
●適応障害の症状「イライラ感」 同様の症状を持つ他の病気「うつ病」、「非定型うつ病」、「不安障害」
イライラは不安や抑うつの裏返しの感情で、多くの心の病に共通する症状です。
●適応障害の症状「普通以上に傷つきやすい」 同様の症状を持つ他の病気「非定型うつ病」
いつもより過敏になり、ささいなことですぐに傷つきます。傷ついた結果として大きな悲嘆や怒りを表明するのは両者に共通しています。非定型うつ病の基準を満たさない症状の場合に適応障害と診断されるほど、両者は似ています。
●適応障害の症状「つらかった思い出がよみがえる」 同様の症状を持つ他の病気「PTSD(心的外傷ストレス障害)」
適応障害もPTSDもつらかった記憶がフラッシュバックしてよみがえることがあり、患者を苦しめます。
PTSDも原因となった出来事がはっきりしている点から、適応障害ととても似ている病気で、PTSDの基準を満たさない場合に適応障害と診断される場合があります。
●適応障害の症状「ストレスがない状態では健康」 同様の症状を持つ他の病気「非定型うつ病」
非定型うつ病は自分にとって好ましい状況では健康、元気になれます。ストレスの原因がなくなった時に回復するという点では適応障害と似ています。
●適応障害の大きな特徴「ストレスを引き起こす原因がはっきりしている」
適応障害を見分ける一番大きな特徴はストレスとなる原因がはっきりと存在していて、それさえなくなれば症状も自然に消滅するという点です。
特に似ているのは?
適応障害の症状から似ている病気はいくつかありますが、特に似ているのは「うつ病」(大うつ病)、「非定型うつ病」、「PTSD」です。
これらの診断基準に満たない場合に適応障害と診断されるので、適応障害はこれらの下位に位置する病気と考えることができます。
診断を下すのは専門医なので私たちが見定めるためにそれほど頭をひねる必要はありませんが、こうしてだいたいの診断の方向性を知っておくことはとても大切なことです。
もし、診断に疑問を持つような場合は主治医に相談してみることもできますし、セカンドオピニオンで他の医師に診てもらうこともできます。
自分の体のことですから、なんにもわからないまま医師の言われるとおりにするというよりは、ある程度わかった上で納得して向き合っていくほうが回復への近道となります。