アスペルガー症候群には、相手の気持ちが分かりにくいという特徴があります。それに加え、自分自身の気持ちや感情も自覚されにくいというところもあります。
自分の感情が「うれしさ」なのか「悲しさ」なのか「怒り」なのか「悔しさ」なのか、はっきりとした分化を遂げておらず、自分の気持ちが本人にもわからないのです。
ただ不快な感じとしか感知されず、癇癪という形で表されることがよくあります。
アレキシサイミア
アスペルガー症候群の場合、自分の感情や身体感覚に対して、無関心・無頓着で、気持ちや感情が認識されにくくなっています。この自分の感情が自覚されにくい状態を「アレキシサイミア」といいます。
アレキシサイミアは「失感情症」と訳されますが、アスペルガー症候群の場合、感情を失ったというよりは感覚の認識が弱い状態といえます。
したがって、複雑な心境や気持ちを言葉にして人に伝えることは苦手となります。知識や理屈は巧みに話すことができても、自分の感じていることを伝えるのは不得意です。
ですから、「自分の気持ちがよくわからない」「言葉にして表現するのは難しい」…こういうことがよく生じます。
過剰な反応
人間の神経はほどよいレベルで覚醒することにより、集中したり、リラックスしたりできます。
イライラするときは、神経が過敏になっていますし、ボーッとしてしまうときは、神経の覚醒レベルが下がっています。
アスペルガー症候群の場合、このコントロールがうまくいかず、刺激を受けると過度に興奮してしまいやすく、かつ、自分が興奮していることを自覚しにくいので、それを鎮めることが困難です。
どうなるかというと、興奮が極度に達し、ついには叫びだしたり、走りだしたりしてしまい、周りをびっくりさせる結果となります。過剰な反応があるかもしれないということを覚えておくのは助けになります。
※2013年発表のアメリカ精神医学会の新しい診断基準DSMによりますと、広汎性発達障害やアスペルガー症候群は「自閉症スペクトラム障害」という名称で統一されることになりました。よって、日本においてもこれからは「アスペルガー症候群」という呼び方はなくなるものと思われます。新しい病名は「自閉スペクトラム症」もしくは、「自閉症スペクトラム障害」(AutismSpectrumDisorder 通称ASD)となります。