自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)の人の助けになる その2

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家族や周囲の人たちはアスペルガー症候群の人たちに対して何ができるのでしょうか。

「アスペルガー症候群の人の助けになる その1」に続き、ここでは、助けになれる点について考えます。

視覚的サイン

アスペルガー症候群の人の中には、聞き取り能力が弱い人がいます。口頭で伝えても、分かっているようで理解できていない時もあります。このような人の助けになるのは、「視覚化」することです。

アスペルガー症候群と同じ広汎性発達障害に属する自閉症の場合を考えてみます。自閉症の施設に行くと、各人の机のところに写真や絵入りの日課表が掲げてあります。

その「日課表ボード」はマグネット式で、その日の予定に応じて、日課の内容を表す絵や写真を入れ替えることができるように工夫されています。

これは、ノースカロライナ大学で開発され、広く普及している自閉症の治療プログラムに取り入れられている方法のひとつです。

自閉症の人が苦手とする言語的な説明ではなく、視覚的・空間的な説明を行なうことで、一日の予定や生活を理解できるように助けるものです。

これをアスペルガー症候群の人の生活にも応用し、予定や日課を視覚化することにより、各人が把握するのを救けることができます。

アスペルガー症候群の場合、本人が苦手としなければ、言語も取り入れ、文字や文書も使用できます。

予定や日課に加え、指示や説明をするにも視覚化して図や絵や文にして伝えることにより、誤解を減らすことができます。

これは、一見すると手間がかかるように思えるかもしれませんが、口頭だけで伝え、本人が理解していないときに生じる問題と比べるとやってみる価値があるのではないでしょうか。もちろん、本人の側でできる努力に「メモ」をとるということが挙げられます。

メモを用いる習慣をつけると頭の中で整理しやすく、忘れたときに何度でも見返すこともでき、「聞く」ことと「書く」ことという二つの作業を同時に行なう訓練にもなるのです。

過敏性に配慮―何気ないことが不安に感じることも

アスペルガー症候群の人の中には、感覚が非常に敏感な人がいます。周囲の音や匂い、動きなどが気になって、全く集中できないこともあります。

本人が主張してくれれば、すぐに周囲の人も起きていることを理解できるのですが、本人はなかなか言い出せないことも多く、限界まで我慢し、疲れ果てることもあります。

場合によっては、会社を辞めたり、引っ越ししなければならないほど本人にしてみれば大変なこともあります。

こんなとき、周囲の人たちに何かできることがあるでしょうか。知識や理解はいつでも大いに助けになります。

また、これはなかなか難しいことではありますが、本人がリラックスして、心地良く過ごせるような環境を可能な限り整えてあげることは大いに助けになります。感覚が敏感な人は、自分自身も対処法を考えるのはよいことです。

自分の敏感な症状にあわせて、たとえば聴覚が敏感な人は耳栓を試してみたり、耐性をつける努力をしてみたり、そして自分のことについて周囲に話したり、文章で伝えたりできるかもしれません。

本人の秩序をみだりに乱さない

アスペルガー症候群の人の中には、今まで慣れ親しんだやり方や環境が変化することに対して、柔軟に対処できなかったり、ストレスを感じやすい人もいます。

そうした変化が生じると、不安症状やうつ症状、身体的な症状となって現れたり、不機嫌や不満、甘えなどの形になって現れたりします。

本人の周囲の環境に変化が生じたときにはこのようなことがあり得るということを知っておいて、いざという時には、こちらの側で普段以上に優しく接したり、わがままを聞いてあげる余裕があればいいかもしれません。

もちろん、できるだけ環境や方法、ルール、本人のポジションなど今までのものを変えないのが一番の方法です。