自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)の人の助けになる その3

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人間の中に眠る才能はそれが開花するきっかけがあるかないかでその人の人生は大きく変わってきます。

家族や周囲のだれかが本人のうちにかすかに光る才能を見いだしているなら、それが発揮されるような環境に本人を導くことができれば幸いです。

アスペルガー症候群の特徴の一つは、自分が興味や関心を抱く対象には人一倍の集中力や記憶力、疲れ知らずで打ち込めるという素晴らしいものです。

ずっとアスペルガー症候群の人と接してきた人ならば、本人がどんなことに強い関心を抱くのか知っておられるかもしれません。アスペルガー症候群の人が抱く関心の対象も十人十色です。

アスペルガー症候群の人もそうでない人にも言えることですが、本人が深く興味を持つ対象を、仕事や人助けなどの役立つことに生かすことができないか本人を含め、誰かが気づき、その方向に進むことができるならば、そうでないときよりも豊かな生活が送れるでしょう。

一つの分野で勝負

アスペルガー症候群の人は複数作業の同時進行が苦手な傾向があります。二つのことを同時に進めようと思えば、能率は半分どころか4分の1以下になる場合もあります。

ですから、本人が得意とする一つの分野で勝負してゆくほうがよいでしょう。アスペルガー症候群の場合、その多くは、苦手分野に取り組んで、苦手なところをなくし、平均的に能力アップというタイプではありません。

本人が意欲的に取り組む場合を除き、苦手分野をなくすようにとの周囲の「無理強い」は逆効果です。誰にも負けない得意分野を一つ身につけるほうが、成功しやすいのです。

こだわりの部分との衝突を避ける

多くの人は、自分のことと同時に相手のことも配慮に入れて考えます。相手の気持ちや意向をくんで、発言したり行動したりします。

アスペルガー症候群の場合、この「相手のこと」が見えにくい場合があり、自分のこと優先になってしまうことがあります。

これは、悪意や自己中心的な性格などではなく、本人にしてみればいたって誠実な、普通なことで、自分の気持ちや考えを述べたにすぎないのです。

アスペルガー症候群の人からみれば、「正しい」こと、「真実」なことは、相手への配慮や感情によって変化するものではなく、どういう状況下でも不変のものとして捉えられがちです。

相手を喜ばせようとして、あるいは、周囲に合わせようとして自分の意見や考えを変化させて表現するほうが不誠実なことと感じることがあります。また、自分の考えや意見を場面ごとに変化させてしまうのも不安材料となり得ます。

ですから、アスペルガー症候群の人が周囲の空気を読めないと感じる場合、本人の言動の裏にはこのような意味があるということを知っておくと助けとなります。

このような場合に、情に訴えて説得したり、こちらの熱意に応えて関心や意欲を出してくれることを期待すると、期待はずれに終わることも十分あり得ます。

アスペルガー症候群ゆえのこれらの考え方を含めて対処すると、早急に本人にレッテルを貼ったり、本人を傷つけてしまう前に理解を示し、本人にとってもこちらの側にとっても納得のゆく解決法を見出す助けになるのです。