演技性パーソナリティ障害 原因

演技

演技性パーソナリティ障害の原因はどんなところにあるのでしょうか。そこには、彼らが演じざるを得なかった過去があります。基本的には境界性パーソナリティ障害と同様、親の愛情不足による愛情飢餓が根底にあります。多くの場合、母親との間に愛情の問題があります。

幼い子供はとても無力で、生きてゆくのに必要な愛情が得られない場合、幼いなりに本能的に考え、生きてゆくための戦略を編み出します。彼らにとってミルクや睡眠と同じほど非常に重要な親の愛情を得られない場合、どうするのでしょうか。

演技性パーソナリティ障害の場合、誰にも愛されず、受け入れられないとき、愛されない無価値な自分はいったん封印し、他の人たちのようになろうとします。そのような子供は周囲の人々の顔を手本にし、観察することを学びます。

観察した人たちの考え方、話し方を子供なりに探ろうとし、人々の表情や振る舞いをまねるようになります。そのようにする中で、どうすれば他の人々に受けがいいか、小さい頃から学び、実践してゆくわけです。

そのようにして周囲の人々を楽しませ、注目を浴びて愛されることで自分を保とうとします。その根底には愛情飢餓がありますが、幼い日の愛情飢餓は人を様々なパーソナリティ障害へと誘います。

境界性パーソナリティ障害の場合は、愛情飢餓を埋め合わせるために耐えず人にすがりつこうとし、見捨てられることを過度に恐れます。一方、演技性パーソナリティ障害の場合は、愛されない本来の自分に向き合うことをやめ、周囲の強い関心を集める誰かを演じることによって生きる道を見出します。

同じ愛情飢餓でもどのような要因で、どのパーソナリティ障害へ発展してゆくのかはわかりませんが、演技性パーソナリティ障害も受け入れられなかった子どもたちが生きてゆくために身につけた戦略だったのです。

彼らが身につけた演技力は並大抵のものではありません。その演技はどこか作り物めいた、わざとらしいところがあるような気もしますが、あまりにも見事に役になりきっているので、すっかり欺かれてしまうことも少なくありません。

演技性の力は、本来存在しないものをありありと実在させる能力です。大抵の場合、彼らは幼い頃から実践していますから、その達人といえるでしょう。

うつ症状を発しやすい理由

演技性パーソナリティ障害の人はうつ症状を発しやすいと言われています。彼らは本来の自分自身に背を向けたまま生活していますから、心の奥には普段、背を向けられている誰にも愛されず、不安でたまらない小さな自分自身がいます。

幼いころの愛情飢餓をずっと抱えたまま生きているので、演技をやめてしまうと、本来の自分自身に向かい合うことになり、空虚な気持ちや寂しさに押しつぶされそうになります。本来の自分に向き合いたくないがために、ついつい楽しくて刺激的な外面的なことに注意をそらしてしまいます。

彼らは楽しさや刺激がないと、すぐに悲しくなったり、虚しくなってしまいます。特にうれしくもなく、悲しくもない「中間の気持ち」がないのです。ですから演技性パーソナリティ障害の人には、表向き魅力的なその演技と表裏一体で、憂うつな気持ちを抱きやすい内面が広がっているのです。