ADHDの子どもたち

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ADHDの子どもの例 太郎君の場合

「今日はどうだった?」 学校から帰宅した息子を迎えた洋子さんは息子の太郎に話しかけました。

太郎はむっとした表情で母親を無視します。

「どうしたの?、何か嫌なことがあったのね」。

洋子さんは息子の気持ちを察しながら言います。

「何があったの?」「うるさいなぁ」。

太郎は不満気に返事をします。「お母さんはあなたのことが心配なのよ。

とてもつらそうじゃないの。なんとかしてあげたいのよ」。

「お母さんなんかに助けてもらいたくないよ!」と太郎はわめきます。

「ほうっておいてよ! お母さんなんか嫌いだ。ぼくなんか死んでいればよかったんだ」。

「太郎!」 洋子さんは息を切らしながら話します。

「そんな口をきくんじゃありません。お母さんは優しくしてあげたかっただけなのに。どうしたらいいっていうの」。

一日の仕事で疲れ果てている洋子さんは心を取り乱し、どうしてこんな子供が生まれたのかしらと考えます。

戸惑いや無力感や怒りを感じ、自分の息子でありながら恨めしくなり罪悪感すら感じます。

内心は、今日学校で何が起きたかも知りたくないくらいです。

きっとまた後で先生から電話があることでしょう。洋子さんは時折どうにもやり切れなくなることがあります。

こうして一見ささいな出来事も不安を伴う激しい感情的試練に変わります。

ADD/ADHDを持つ子供、またそうでなくても「問題児」とされている子供たちは問題にぶつかるとかなり激しく反応する特徴があります。

すぐに感情を爆発させる傾向があるため親を怒らせ、当惑させ、しまいに疲れ果てさせます。

ストレスにさらされる子供たち

私たちが現代の世界を悩ませているような数々の大きな問題や圧力や不安に直面したことはいまだかつてないことです。

今の時代は大人も子どももストレスフリーで生きてゆくには困難な時なのです。時代は変わり要求はさらに大きくなり子供に求められる事柄も増えました。

子供たちが経験しているらしい問題の多くは社会の期待の変化に起因するかその影響によるものかもしれません。特にADD/ADHDの子供たちにとって学校は悪夢となりかねません。

彼らは自分の力不足と闘う一方で爆発的とも言える勢いの科学技術の進歩に対応することを強いられます。容赦なく成績で優劣がつけられ、容易に劣等感が育ってしまう環境です。

しかも科学の進歩によって環境は急激に変化しつづけかつ、厳しく危険なものになってゆくおそれがあるため子供たちはますます不安になります。こうした様々な問題に対処するには子供たちの感情はまだまだ未熟ですから親の助けを必要とします。

ADHDの三つのおもな症状

子どもたちに見られるADHDの三つのおもな症状を簡単に考慮してみましょう。

①注意力散漫ADHDの子供は、細部の重要でない事柄をふるい落として、一つの事柄に意識を集中することができません。

そのため、関係のない光景や音や匂いによってすぐに気を散らされてしまいます。注意を払ってはいるのですが、自分を取り巻くものの中で特に注意を引くものがありません。どれにまず意識を集中したらよいかが見極められないのです。

②衝動的行動ADHDの子どもは考えるより先に行動し、その結果がどうなるかを考えません。

計画性や判断力に乏しく、危険な行動をする時もあります。道路に飛び出したり、何かのへりに飛び乗ったり、木にかけ登ったりします。そのために、余計な切り傷や打ち身やすり傷を負って、医者のところへ行くことになりかねません。

③多動多動な子供はいつもそわそわしています。じっと座っていることができません。

このような子供たちは、注意深く観察すると、年齢が進んでも、脚部、足、腕、手、唇、舌などを何らかの仕方で絶えず動かしているようです。

しかし、注意力が散漫で衝動的であっても、多動でない子供もいます。その場合は、単に注意欠陥障害(Attention Deficit Disorder)、あるいはADDと呼ばれることもあります。

ADDは多動を全く伴わないこともあれば、他から見てほとんど分からないようなものから、やや煩わしいものや高度の障害となるものまで、何らかの程度の多動を伴うこともあります。