愛着障害の治療 精神分析は症状を悪化させる

アメリカ人の俳優マーロン・ブランド

アメリカ人の俳優マーロン・ブランド

多くの人が精神科で受ける治療のひとつは精神分析です。精神分析の治療法は、患者が語る言葉を聞き、それを分析して解釈を与えることにより発見に辿り着こうとする治療です。

分析医にとってこの治療法は、患者に同情したり、優しく慰めたりすることが最終目的ではありません。

その治療法は知的なプロセスであり、患者の気持ちに関係なく暴力的とも言えるまでの分析を突きつけて、患者の心の奥底に隠れている病気の根源を引きずり出し、それと向かい合わせようとするものです。

その過程において苦痛が伴う、いわば「知的ショック療法」と言えます。このことを示す経験があります。

俳優マーロン・ブランドの経験

アメリカ人の俳優マーロン・ブランドは、母親がアルコール依存症で、幼いころからあまりかまってもらえませんでした。

しかし、彼がものまねをしたり、面白いことをしたときに限り、母親は笑って見てくれ、その注意をひくことができました。

そのような過程で演技の能力を自然と身につけた彼は俳優の道へと進みます。大人になってからも、幼いころの愛情不足は憂うつ感や空虚感となって表れました。

自分の憂うつ感が母親に会った後、特に強まることに気づいた彼は精神分析の治療を数年にわたって受けました。

しかし、解決への糸口は見いだせず、徒労に終わります。彼はその時の分析医について感想を述べています。

「返ってきたのは氷のように冷たい態度だけだった。この男にはおよそ温かみというものがなかった。診療所の備品さえも寒々とし、足を踏み入れるたびに身震いしたくらいだ。彼は特定の心理学派のルールに従っていただけなのかもしれない。だが彼は人間の洞察力に欠けていて、私にはなんの助けにもならなかった」(マーロン・ブランド自伝より)

精神分析は愛着障害の改善にはならない

マーロンのように、こういった期待が裏切られるような経験をした人は数知れずいることでしょう。愛着障害は不安定な愛着しか形成されていない状態です。

そのような状態のときに、温かく抱擁するのではなく、分析という刃で冷たく切り刻むことをされるとどうなるでしょうか。

その分析が役立つどころか、失望やひどく愚弄されたように感じ、心はイライラしたり、不安定になって悪化してしまいます。

基本的に愛着障害の治療に必要なのは不足している愛情が補われることです。そうした肝心な部分をないがしろにして、知的分析や認知行動といったところで、それらは患者にとって虚しいだけです。

精神分析という治療法は、患者が欠いている愛情の補充をしないという点で、愛着障害の改善には向いていないのです。