強迫性パーソナリティ障害と上手に付き合っていく

時々は休息しましょう

強迫性パーソナリティ障害は、全部で10種類存在するパーソナリティ障害の中で最もうつ病や心身症を発症しやすいものです。この強迫性パーソナリティ障害と上手に付き合っていくために心得ておけるどんなことがあるでしょうか。

心身を休ませる

このパーソナリティはとにかく休むことを知りません。起きている間ずっと予定どおりに行動し、いかに計画からのズレがないか気になっています。一日をきちんと計画したとおりに過ごすことが重要なのです。

毎日の予定の中には、休憩も組み入れられているかもしれません。しかし、次の予定のことが気になって、本当の意味でゆっくりと休めていないのです。

せっかくの休日も心身共にリラックスさせて十分な英気を養うというより、予定通りの一日にできるよう、計画された時間を送ります。動くことと休むことのスイッチの切替がうまくいかず、動くスイッチが入りっぱなしのような状態なのです。

アメリカの精神科医フリードマンとローゼンマンとが発見した身心医学の性格類型によりますと、この強迫性パーソナリティは「タイプA」と呼ばれる分類に属し、狭心症や心筋梗塞などの心臓疾患になりやすいとされています。

タイプAの性格は競争的、野心的、精力的、過敏で警戒的、何事に対しても挑戦的で出世欲が強く、常に時間に追われており、攻撃的で敵意を抱きやすい、せっかちなどが挙げられています。

このタイプの人は、何もかも背負い込んでしまうきらいがあるゆえ、自らストレスの多い生活を選び、ストレスに対しての自覚があまりないままに生活してしまうようです。

ですから、知らないうちに心身ともに疲労が蓄積されていることがあるのです。そうした生活は長く続けれるものではありません。

こうしたことを踏まえて、十分な休息やリラックスも必要な仕事と考えて、100%頑張らない時間を持つことが秘訣です。ダラダラと無意味な時間を過ごすことがストレスになるのであれば、何か趣味や興味関心のあること行ない、それを楽しむのもひとつの手です。

趣味も全力になりがちなので、果たすべき日課で義務的なものにならないよう気をつけ、楽しさを感じることが大切です。普段忙しい毎日を送りがちなので、ONとOFFの切り替えを行ない、特にOFFのスイッチがきちんと入るようにしましょう。

うまくいかないときに自分をあまり責めない

責任感が強く、信頼できるのが強迫性パーソナリティの長所でもありますが、物事がうまくいかないとすべての責任が自分にあるように思い込みます。

責任感に比例して、うまくいかなかった時の自責の念も強くなります。自分の努力が足りなかったと必要以上に自分を責めます。その土台には「努力すればすべては叶う」というモットーがあります。

しかし所詮、不完全な人間の成し遂げることには限界があります。限りない能力を持った人など存在しません。失敗や間違いをするのが不完全な人間なのです。最善を尽くしても、結果が失敗に終わることもあるのです。

強迫性パーソナリティの人はただでさえ自分に十分責任を感じますが、失敗した時には全力で自分を責めます。しかし、人が耐えられる攻撃の量には限界があります。限度を超えると、心身の様々な不調が表れてきます。

健康な心身あってこそ普段の責任を十分に果たすことができるのではないでしょうか。自分を責め過ぎて心身を害してしまったのでは、今よりさらに責任を果たす能力が低下してしまい、さらに自分を責める悪循環に陥ります。

自責の念もどこかでブレーキをかけ、程々にしておかなければならないのです。

他人を尊重する

自分一人で生活し、他人と関わらないならすべて自己流で問題ないのですが、他者と関わるとなると、自分と違う価値基準と接することになります。

基本的にほとんどの人は、自分の考え方こそ正しいと思い込んでいます。自分とは違う「異質」のものを退け、避けようとするものです。

他の人が自分と同じ価値観ならどんなにか楽なことでしょう。しかし、そうもいかないので、多くの人は折り合いをつけながら波風立たぬよう人間関係を円滑に運んでいます。

強迫性パーソナリティの人も、自分と同じ価値観や考え方・方法を他人も当てはめるべきと思い込んでいるところがあります。それをいつの間にか他人にも求めてしまうことがあり得ます。このタイプの人は、それが目に見えて周囲の人にはっきりと伝わってしまうことが多いようです。

私たちの発する言葉や態度は心で考えていることの表われです。
ですから、自分と同じことをするよう期待しているとそれが他人にも何らかの形で伝わります。

この世には人の数だけ価値観が存在します。一人として、まったく同じ価値観の人は存在しません。それぞれが様々な基準で、思い思いの試行錯誤を重ねながら人生を切り開いているのです。

この世の中というのは、ものすごくいい加減なカオスであり、それをひとつの秩序や基準でくくることなど不可能なのです。

自分にとって最善と思える事柄でも、人にとっては必ずしも最善ではないこと、そして、無理強いは誰にとっても窮屈であることを理解する必要があります。

たとえ相手が配偶者や子どもといった身近な存在であっても、自分とは別の基準を持つ人間であることを認めないと遅かれ早かれ諍(いさか)いが生じてしまいます。

ですから、仕事、子育て、恋人や配偶者など、関わる人間関係の中で別の価値感が存在することを認め、尊重することが自分だけの狭い視野にとどまらない助けになり、他の人にとってもさわやかな存在となれるでしょう。