演技性パーソナリティ障害 克服のために

克服のために

演技性パーソナリティ障害の人は、本当の自分にあえて向き合わないようにしています。他人から注目され、評価されることこそ彼らのアイデンティティ(存在価値)だからです。

いつも他人に、自分の外側に自分自身の価値を見いだそうとしています。演技性パーソナリティ障害の克服のポイントは、他人からの評価なしでも平気でいられるよう、自尊心を強化することにあります。

作り物の幸せからの卒業

克服のために自尊心を回復させる場合、どうしても自分自身と向き合わなければなりません。内面の自分は自信がなく、愛情に飢え、空虚感や寂しさがあるゆえ、いざ注意を向けるとすぐに落ち込んでしまうかもしれません。

今まで、そのような憂うつな気持ちから逃れるために演技をしてきました。人からの注目や関心は、空しい気持ちを一時的に忘れるのに役立ちました。その時だけは、作り物の幸せを感じることができたのです。

しかし、演技の上に成り立つ生活は余計に心の中を寒々としたものにしてしまいます。いつかは、その作り物の幸せから卒業したいものです。それゆえ、いつまでも逃げ続けるのをやめ、本来の自分と向き合うことが克服のためのカギとなります。

内面の自分自身と向き合う

自分の内面と向き合うときに感じるつらい気持ちは、逃げ出したくなるほど辛いかもしれませんが、本来の自分自身と向き合えている証拠でもあります。内面の自分自身と向き合う習慣を身につけましょう。

境界性パーソナリティ障害の克服の項目でも述べましたが、寂しいからといって、すぐに他人で紛らわそうとするのをやめてみましょう。欲求不満なことがあっても、すぐに解決しようとするのをやめてみましょう。

うまくいかない時こそ、自分を強くするチャンスなのです。薬を飲み続けると体に耐性ができるように、つらい状況を我慢してゆくときに耐性や辛抱強さが備わってきます。

ポイントは自分ひとりで過ごす時間を作り、その時間を楽しめるようになることです。一人なら演技の必要もありません。外からの刺激ではなく、内から沸いてくるような刺激を大切にしましょう。

ただし、急に世間との関わりを無くして世捨て人のように生きていくというわけではありません。何事もバランスが大切です。このタイプの人が家に閉じこもって引きこもりのような毎日を送れば、ストレスとなります。今までのように、評価や注目を受けるような関わりもありながら、内面的な知性や感性を磨くことができます。

人からの評価なしでも幸せになれる

一人で内面の自分に向きあおうとする時、最初は落ち込み、つまらないものに思えることでしょう。しかし私たち人間は、新鮮な刺激や興奮、人からの注目などなくても幸せになれるようにできています。

実際、ほとんどの人の人生は何も起きません。平凡な毎日の繰り返しです。かといって、彼らが不幸かといえば、大抵の場合、それなりに幸せなのです。何も生じない平凡な時間を大切にし、心の感受性を高め、ささやかなことに関心と興味と喜びを見出しましょう。

ありふれたことを続けることが演技性パーソナリティ障害の人に不足している力を育んでくれるのです。満たされない本来の思いを内に秘めたまま、生涯孤独に演じ続けてもよいのですが、そうしない選択もあります。それは、演技性パーソナリティ障害を克服する道なのです。