愛着障害 回復の過程で生じる依存と自立のジレンマ

愛着障害の人が親や親代わりのような人に出会い、慢性的に不足していた愛情を十分に得るにつれ、回復の方向へ進むことができます。

その過程において愛着の傷が深いほど、親・親代わりの人に依存する態度と、自立に向かおうとする葛藤が大きく見られます。この時期が回復の過程において1番大切な時です。

このときに、愛情を注いで支える側が拒否したり、突き放したりしてしまうと、回復に向けて登ってきた階段から一気に転げ落ちることになります。

甘えと反抗

では、この時期にどのような態度が見られるのでしょうか。愛着障害が回復していく中で、支えてくれる人に甘えたかと思えば、反抗的になったり、困らせたりするかもしれません。

わざと無視したり、怒りをあらわにすることもあります。こうした反抗のように見える態度には2つの段階があります。

ひとつは、安全基地(親や親代わりとなる愛情を注いでくれる存在)に対して、自分にもっと関心をむけてもらいたいのに、十分な関心が向けられていないことに腹を立てる段階です。それは、もっと甘えたいのに我慢していることからくるイライラかもしれません。

依存と自立の両方の思い

もうひとつは、安全基地からの関心や期待をうっとうしく感じ、距離を置こうとしている段階です。これはより回復が近い段階で、愛着対象からの自立を遂げるという課題に直面しています。

このときの本人の心境には、愛着対象の関心や期待に背を向けることで見捨てられるのでないかという不安と、自立して独り立ちしたいという2つの思いが同時に存在しています。

そのように本人の中でいくらか混乱が生じているため、愛着対象となる人には試練となるかもしれません。

しっかりと受け止めてくれれば回復へ

この段階で愛着対象となっている親や親代わりの人は、本人に何が起きているか知っておくことが大切です。

しっかりと知識を持っている人、本能的にピンとくる人、またはもともと器が大きく、包容力のある人ならば、動揺せずに受け止めて肯定してあげることができます。

しかし、愛着対象となっている親や親代わりの支える側の人が「恩を仇で返された」、「こんなにしてあげているのにあり得ない」、「感謝の気持ちがない」といった思いを抱いてしまうとどうなるでしょうか。

その思いは否定的な態度になって表れてしまいます。我慢できなくなって何らかの形で本人に伝わってしまうと、愛着の傷を塞ぐどころか、さらに傷を広げてしまうことにもなりかねません。

この試みともいえる段階に愛着対象となる人がどう対処するかによって、悪化するか、回復へ向かうかの分かれ道となります。

この段階における愛着障害を抱えた人の反抗や怒りは自立に向かって順調に進んでいるしるしなのです。

表面に表れる態度に振り回されず、その根底にある気持ちしっかりと受け止めてあげれば、愛着障害を抱えた人は真の回復へ進むことができます。