統合失調症 治療を遅らせない

早期治療

統合失調症はできるだけ早く治療を開始するほうがよい疾患です。症状が出現するまでに、水面下で何年にもわたって病的なプロセスが進行しているからです。

陰性症状(感情鈍化、思考貧困、意欲・自発性の低下など通常ある機能が失われること)が進行し、脳の萎縮が始まっているかもしれません。一度萎縮した脳は元には戻らないので、できるだけ早い治療開始が重要なのです。

思い当たる節があるなら受診してみる

統合失調症が疑われる症状を認めるなら、すぐに医療機関を受診し、専門家の正しい診断を仰ぐことが賢明です。一見健康に見え、自分にはそんなことは生じないだろうと現実から目をそらすより、まずは本当に統合失調症なのかどうかの是非を問うことです。

実際に早期発見でき、治療を開始できたケースほど病気の進行がわずかで済み、症状も軽く、社会適応、社会復帰も良い結果が出るといわれています。

うまくいかないこともある

疑わしき症状が存在するとき、精神科の医師であっても、統合失調症を早期発見、早期治療できるかといえば、そうならないこともあります。

診察していく中で、統合失調症を疑っても、はっきりとした陽性症状(幻覚や妄想)などが現時点で見られない場合、統合失調症という正式診断を下しにくいのです。

また、患者はだれも「統合失調症」というような深刻な病名はつけられたくありませんし、医師といえどもできるだけ重い疾患名はつけたくないものです。

こうした状況が重なると、医師も統合失調症のことは触れずに他の病名、たとえば「抑うつ状態」、「自律神経失調症」などとうやむやな診断で済ませてしまうことがあるのです。

ですからせっかく早期に疑い、治療を開始しようと思っても必ずしもうまくいかないこともあります。このようなリスクもありますが、それでも医療機関を受診することは大切です。

患者本人は自分が病気だと思いにくい

いろいろな病気にいえることですが、統合失調症もまたこれに相当します。つまり、自分が病気だという自覚をもつことが非常に難しいということです。

統合失調症の場合、自分が病気だとは思わず、むしろ周囲の出来事や周りの人間のほうがおかしいと思い込み、信じて疑いません。そのように思い込んでしまう一面のある疾患なので、自分から医療機関を受診するのは稀なケースです。

ですから大抵の場合、家族や恋人など周囲の人が気づき、本人に受診を促したり、連れ添って医療機関を訪れることになります。本人は病気だという自覚がないので、なかなか受診に至らないかもしれません。そのような場合はどうすればよいのでしょうか。

患者は自分は病気だとは思っていないケースがほとんどですが、病気の自覚はなくても、病気がもたらしている何らかの苦しみや不快感は自覚しています。

そこで、その患者が感じている何らかの違和感、何か変だというその感覚に訴えることがポイントになります。そこをついて、患者の側の「この困った状況をなんとかしたい」という気持ちを引き出し、病院に気持ちを向けさせることができれば、受診してくれる可能性が高まります。強引に引っ張り回さず、本人の主体性を尊重することで、これから先も良い関係を保ちやすくなります。