統合失調症 自分と他人との境界が崩れる自我障害

自我障害

統合失調症の症状のひとつに、「自我障害」と呼ばれるものがあります。これは、自分と他人との境界が崩れ、自我が侵犯されることを意味します。

普通の人であれば、自分と他人との境界つまり、「自我境界」ははっきりと別れており、自分の考えはしっかりと自分だけのもの、他人の考えはきちんと他人のものと独立しています。

しかし、統合失調症になると、この自我境界がもろくなり、はっきりせずにあいまいなものとなります。

自分の考えが周囲に知れ渡る

そうなると、自分の考えや秘密が周囲の人たちに漏れているように感じる「自我漏洩症状」が出たり、自分の考えていることが周囲の人たちに広がっていると感じる「思考伝播」などの状態が出てきます。

思考伝播はテレビやラジオなどの電波施設によって、制作されたものが人々のもとに広がってゆくのと同じように、自分の考えが世間に向かって広がり、ばらまかれているように感じます。自分の考えが周囲の人に知れ渡っているのですから、プライバシーが完全に奪われた憔悴する状態といえます。

周囲の考えが自分の中に入ってくる

自我漏洩症状や思考伝播は自分から周りの人たちへ考えが伝わってゆくというものでしたが、逆に、外界から他人の考えや異物が自分の中へ侵入してくるように思えたり、自分がコントロールされているように感じることもあります。

他人の考えが自分の頭の中へ入ってくるように感じることを「思考吹入」(しこうすいにゅう)と呼びます。また、他人を含め、外界の何かが自分の中へ侵入してくるように感じることを「侵入症状」といい、自分自身が何者かに操られるように感じることを「操られ体験」といいます。これらはよく現れる症状です。

させられ体験

自分の意思とは無関係に何かの行動をさせられるような体感もあり、それを「作為体験」といいます。

作為体験は、「~をしろ」「~をするな」といった幻聴からの命令によって支配され、そのとおりに行動しようとする場合もあれば、幻聴などはなく「体が勝手に動いて行動した」ように感じる場合もあります。

場合によっては体の動くまま、声に命令されるままに行動し、衝動的に自分を傷つけたり、他人を傷つけたりすることもあります。

作為体験は、人間が本来持つ主体性の障害です。実際のところ、自分自身で行動しているのですが、意思と体の動きの連携感覚が障害を受けて弱まっている状態です。

ですから、自分で行動していながらも、それが自分の意思によるものではなく、誰か他人の意思を強制されているかのように感じてしまうのです。