境界性パーソナリティ障害は性格ではなく病気の発症

過去と現在はつながっている

性格ではない

境界性パーソナリティ障害をその人が持つ「困った性格」だと考える人がいますが、それは大きな誤解です。本人も好き好んでそのような言動を取るわけではありません。そのような性格の持ち主というより、何らかのきっかけでそういう状態になるのです。

とてもしっかりした人、思いやり深い人、明るい人、頑張り屋さん、サービス精神旺盛な人、気配りのできる人、空気の読める人などでも発症します。

このように、境界性パーソナリティ障害になる人にも様々な性格や気質の持ち主がいます。ある性格の人が発症したかと思うと、まったく正反対の性格の人も発症します。

境界性パーソナリティ障害は、多様なタイプの人々がなんらかのきっかけを通して発症する病的な状態なのです。

ですから、病気が回復するにつれて、元々もっていた性格に戻ってゆきます。発症前と同じ路線の性格に戻るわけですが、病気の経験を通して人間的にも成長し、いっそう深みのある成熟した姿へと変化します。

発症のきっかけ

境界性パーソナリティを発症するきっかけも人それぞれです。きっかけが単一の出来事の場合もあれば、複数の事柄が重なったり、ある出来事から時間が経ってから発症するケースもあります。

境界性パーソナリティは様々な性格の人がなるものですが、原因は気づかないうちに長い時間をかけて用意されているものです。発症のきっかけは限界を超えるたまたま最後の一押しにすぎません。

ただ、きっかけが原因と無関係かというと、必ずしもそうではないようです。発症のきっかけとその人の持つ過去とを考えていくと、最も多く見られるのは、過去に生じた傷つき体験や認めてもらえなかった経験が再現されるような状況に遭遇しているケースです。

発症のきっかけとなる出来事は、過去の心の傷や痛みをよみがえらせるような性質を備えているようです。一種のフラッシュバックが起き、心の動揺とともに、これまで積み上げてきたものが崩れ落ちるかのような体験として感じられ、発症につながるようです。

ですから、様々な性格をもっていても、心底の部分で傷つき体験、見捨てられ体験、喪失体験、構ってもらえなかったり、放って置かれたりしたような傷を負って生きてきた人が、なんらかの出来事をきっかけに発症するものと考えられます。

発症までいかない場合や、病気後の経過においても、喪失体験や見捨てられ体験、またはそれを思い出させるような出来事に出くわす度に不機嫌・不安定になったりしやすくなります。

このような点から、境界性パーソナリティの症状は性格ではなく、その人に責任のない一種のハンデにより生じている症状ということができます。