うつ病と糖尿病・がん

がん

うつ病とがん

がん患者のうち、全体の20~25%の人がうつ病にかかっていると言われています。末期のがん患者になると、その割合は高くなり、23~58%にもなります。

特に過去にうつ病経験がある人はがんの発症とともにうつ病が再発する率が高くなります。

がんになると身体的にも精神的にも多大のストレスをもたらすので、うつ病を発症しやすくなるのも理解できます。

その中でも、発見が遅れて長期治療になったり、経過が良くなかったり、再発を繰り返したり、転移したり、痛みに絶えずさい悩まされたりしていると落胆し、抑うつの要因となります。がんが原因で生じる高カルシウム血症などの代謝の障害もうつ病の引き金となります。

よくある問題のひとつは、がんになると多くの苦痛を経験するので、生じているうつによる症状、つまり、睡眠障害・不安・イライラ・興味の喪失・集中力低下・気力減退・自殺念慮・動作の遅延などがうつ病によるものだと気づかず、がんのストレスから来る気持ちの問題だと誤認してしまうことです。

がんに伴ううつ病は、適切な治療によって改善する可能性が高いので、気持ちの問題だと放置せずに精神的な疾患の方向から疑ってみることも視野に入れておくことができます。

がんは多くの苦痛をもたらします。そのうえにうつ病にかかるとその苦しみは何倍にもなりかねません。うつ病は適切な治療によりかなりの改善が見込まれますから、早めに対処して、必要ながん治療に集中することができます。

うつ病と糖尿病

糖尿病の患者でうつ病にかかっている人も多くいます。その比率は糖尿病でない人と比べたとき、2倍以上になっています。

最近のアメリカの研究によりますと、成人の糖尿病患者のうち、15~20%の人が大うつ病を患っているとのことで、5人に1人はうつ病を抱えている計算になります。

要因としては、糖尿病になったことに対する落ち込みそのものや、共通する生物学的な理由があると考えられています。

糖尿病は20歳以下で急激に発症することがあります。インシュリンと食事療法で治療するインシュリン依存型糖尿病(Ⅰ型)と、35歳以上の肥満者にゆっくりと忍び寄るインシュリン非依存型糖尿病(Ⅱ型)に分けられます。

このうち、Ⅱ型のインシュリン非依存型糖尿病において、その80~90%もの患者に糖尿病発症に先立ち、抑うつ症状が存在していたという報告もあります。うつ病は糖尿病の危険因子の一つであると考えられるようになっています。

うつ病は糖尿病の治療にも影響を与えます。うつ病になると血糖のコントロールがうまくいかなくなります。うつ病は抗うつ薬などで改善が見込めますから、その治療により血糖のコントロールも改善できます。

うつ病と糖尿病は足を引っ張り合う疾患ですから、あまりにも気分が落ち込んだり、やる気が出なかったりなどのうつ病が疑われる症状があるときには精神科や心療内科で一度診てもらうことができます。