依存性パーソナリティ障害 接し方と克服のためにできること

自分で生きる

依存性パーソナリティ障害の人が身近にいるならどのように接してあげるのがよいでしょうか、また、自分自身が依存性パーソナリティ障害の場合、改善のためにどんな心がけができますか。

ここでは2つの点を取り上げます。「思いを口に出す」ことと「自分で決める」ことです。

考えを述べてもらう

依存性パーソナリティ障害の人は、幼少期の過保護もしくは支配的な親の養育を受けることから始まり、自分以外の意見によって今まで歩んできました。

自分の意見を言って、もし相手の意見と違った場合、仲が悪くなったり嫌われたり攻撃されたりするのではないかと心の底で恐れています。

そのような考え方が染み付いているため、自分の意見を言わないスタイルで何年も過ごしてきました。

そして、時間が経つにつれ、自分の気持ちが言えないのを通り越して、気持ちそのものが分からなくなっていることも少なくありません。アイデンティティを失ってしまった状態です。

自分で考えて答えを出すより、他人に答えを求め、周囲も答えを与えるので、思考力がとても弱くなっています。

ですから、身近に依存性パーソナリティの人がいる場合、尋ねられてもすぐに答えや正解を与えず、自分で考えさせる機会を作ってあげましょう。

今までは答えを述べることが親切でしたが、これからは答えを述べないことが親切です。そして、できるだけ本人の気持ちを聞いてあげてください。

依存性パーソナリティの人は他人と違う意見を述べることにトラウマのような恐れを抱いています。そんな中で、周囲とは違う意見が言えたらそれは歓迎すべき傾向です。よく聞き、褒めてあげましょう。

思いを口に出す

ですから、もし自分自身が依存性パーソナリティ障害なら、すぐに答えを求めたくなるのを中止して、自分で考え、「自分は意見はこうだ」というのを口に出すようにしましょう。時間がいくらかかっても構いません。

このように意見を述べる癖をつけることにより、自分の考えが明確になってきます。自分がどんなことを望んでいるのか、本当の気持ちはどのようなものか、これは、自分自身を取り戻す過程でもあるのです。

違っていることが心配かもしれませんが、人は一人ひとり違っていてもよいのです。違う意見が対立や喧嘩に発展するかどうかはまた別の種類の問題です。人と違う考えを述べることはまったく問題ありません。

自分で決めてもらう

もう一つのカギは「決定を自分で行なう」ことです。依存性パーソナリティの人はそのままいけば、親や友人、恋人・配偶者などに支えてもらえる環境にずっと甘んじ、ますます判断力は衰え、一生誰かに依存した人生を送ることになります。

かといって、いきなり一人きりの環境に放り出されると、うまく生きてはいけません。ですから、周囲ができることは、自分で考えてもらうことに加えて、ささいなことから自分で決定するように仕向けていくことです。

例えば、何を着るか、どちらを買うか、どれを選ぶかなど、失敗してもリスクの小さいものから徐々に大きな決定ができるような方向付けができます。

できるだけ早い段階で、とにかく失敗してもよいので、自分で判断し、決定を下す経験を積んでもらうことが訓練となります。依存性パーソナリティの人は今までそうした訓練を避けたきたため、経験不足になっています。

失敗ありきで、自分で決断するという訓練を積むことが何より解決の糸口となります。もし失敗しても、この場合、「自分で何かを決定した」ということに最も意義があります。結果うんぬんより、そのことのほうが重要なのです。

また、せっかくの機会なので、なぜそのような結果になったのか考えてみるように勧めます。自分の行動を省みることで、1つずつの原因や意味を理解し、成長してゆくことができます。失敗は扱いようによっては成長につながるのです。

ですから周囲は、本人の訓練の邪魔をしないよう、余計なお世話を焼かないことが大切です。一人で決定してその責任も取るところまで含めて、やりぬく経験が自信を取り戻す助けになります。ですが、周囲の人たちの不安が本人の自主性を封じ込めている場合がよくあるのです。

自分で決める

依存性パーソナリティの人もこうした点を踏まえ、まずはできそうなところから、少しずつでも良いので自分で決めることを始めてみましょう。合言葉は「自分で決める」です。

依存性パーソナリティの人は、本当のところ、やる気さえ起こせば、決断でも行動でもできる能力を持っています。

ですから、ここで取り上げたように、まずは自分で考え、思いを言葉で表現し、それを自分で決めた行動へと移してまいりましょう。

そのようにして、自分の人生の運転を自分で行ない、主体性を持って生きるというのは本当に気持ちが良いものなのです。