境界性パーソナリティ障害の克服のために 中間の選択肢を取り入れる

物事には中間がある

境界性パーソナリティ障害の人は、両極端の二分化された思考、「最高か最低か」「白か黒か」、「善か悪か」、「100点か0点か」になりやすく、それは自分の気分だけでなく、他の人への評価にも表れます。

しかし現実はというと、白とも黒とも言えない割り切れない事柄ばかりです。自分にしても他人にしてもいいところもあれば悪いところもあります。

生活にしても、80%くらいうまくいく日もあれば、20点くらいの日もあります。それが人生であり、不完全な人間ということなのです。

境界性パーソナリティ障害の人は、あいまいで、割り切れない「中間」をとらえる受け皿が十分に発達していません。

敵か味方か、自分を受け入れてくれる存在か拒否する存在か、という二極対立で捉えてしまいます。

頭ではわかっていても、二極分化された思考が繰り返し働いてしまいます。

こうした状況を抜け出すことは可能なのでしょうか。

染み付いているものなので、辛抱強く、何度も繰り返し指摘される必要があります。そうしているうちに、陥りやすい傾向が見えてきます。

中間の考え方…時には休むことも必要、100%うまくやれるより、時々失敗したほうが結果的には長続きしてうまくいく、といった新しい思考パターンを繰り返しインプットすることにより、両極端の思考パターンが上書きされて消えてゆきます。

やがて、二極対立よりも、中間的な状態のほうが安定性に優れ、柔軟性があり、衝撃にも強いことに気づきます。

こうして、思考のパターンが新しくなると、それは行動面や人への評価にも表れるようになります。

人への評価

両極端の思考は人への評価にも表れます。対人関係において、最高の相手か敵かと、同じ人間に対して両極端に評価が動きます。

相手の人と今まで積み上げてきた何百回のことではなく、今、この瞬間の1回がすべてを左右し、そのまま相手への全評価になります。

こういう気持ちの不連続性が境界性パーソナリティ障害の人の人間関係を極めて不安定なものにしています。

このような面はどうすれば変えることができるのでしょうか。

過去の積み重ねの上に現在の形があるので、現在の一瞬ですべてを判断せず、過去も責任を持って引き受けることが大切です。

過去から現在にいたるまでは、良いこともあれば、悪いこともあるので、良いことばかり、あるいは悪いことばかりに注目せず、全部ひっくるめて引き受けることです。

全部ひっくるめて考えるとき、100点にはならないでしょうし、0点になることもないはずです。そのようにして、中間の選択肢があることに気づいていくことです。

また、「人と一貫してつながる力」を育てることができます。

必要なのは、他人との100%の完全なすばらしい関係を築くことより、じっくりと長くつながることに重きを置くことです。

急に求めすぎず、細く長くつながることです。

また、地味でも誠実で気持ちの変わらない一つの関係を大切にするような人に出会うことです。そのような気持ちの変わらない人が長い時間をかけてその人を支え、癒してくれることもあります。