うつ病と心筋梗塞・脳血管障害

心筋梗塞

身体に何らかの病気を持つ人がうつ病にかかった場合、服薬やリハビリが予定どおりできなくなったり、入院期間が延びたり、回復が遅れたりと、良くない影響を与えてしまうことがあります。

そのため、身体の病気と平行して生じるうつ病は積極的に治療することがとても大切です。ここでは、心筋梗塞と脳梗塞などの脳血管障害について考えています。

心筋梗塞とうつ病

心筋梗塞の後はうつ病や不安を感じやすくなっています。心筋梗塞の患者のうち、約20%もの人が抑うつ関連障害にかかっています。

心筋梗塞の後にうつ病に陥ると、精神的な苦痛をもたらすだけでなく、心疾患の治療にも支障が生じます。抑うつ症状のために気力が湧かないと、医師から説明された治療法を守り、実践することが難しくなります。

たとえば、積極的に体を動かすことが良いと言われても、うつ病にかかってしまえば、その特徴である身体能力の低下により体を動かすどころか、日常生活を送ることさえ難しくなります。

また、うつ病自体が心筋梗塞の危険因子になるとも言われています。うつ病にかかると、そうでない場合に比べて、心筋梗塞の死亡率が高くなるのです。

急性心筋梗塞で入院した900人近くの患者をベックうつ病尺度が10点以上の抑うつ群とそれ以下の非抑うつ群にわけ、1年後に追跡調査したカナダの研究報告があります。

それによりますと、女性の場合、非抑うつ群の患者の死亡率が2.7%だったのに対し、抑うつ群の患者の場合、8.3%でした。男性の場合も、非抑うつ群の患者では死亡率2.4%だったのに対し、抑うつ群では7.0%でした。

同じような研究報告が多数寄せられるようになり、2014年にアメリカ心臓学会は、うつ病が急性冠状疾患の危険因子であるとする科学的な表明を出しました。

脳血管障害とうつ病

脳内出血や脳梗塞などの脳血管障害もうつ病の原因になります。

急性の脳血管障害の患者の約半数がうつ病にかかり、その内訳は大うつ病が27%、気分変調障害が20%だったという報告もあります。

脳血管障害の恐ろしい後遺症の一つは、手足の麻痺などの身体機能障害です。うつ病は脳血管障害の後遺症の有無にかかわらず発病しますが、当然のごとく、身体機能障害の後遺症が出た場合のほうがうつ病にかかる確率は上がります。

脳血管障害の後にうつ病を発症しやすいのは、身体機能障害が残った場合に加えて、過去に何らかの精神疾患を経験していたり、家族に気分障害の人がいたりする場合です。

また、離婚や別居などの家庭内ストレス、老人ホームで生活していて身寄りがいない、アルコール依存症などの要因も脳血管障害の後にうつ病を発症しやすくさせる要因となります。