インターネットゲーム依存症の害

ネット依存

日本で500万人以上いると言われるネット依存症患者。そのうちの多くはオンラインゲームに関係していると考えられます。

インターネットゲーム依存症になってしまうとどのような害があるのでしょうか。このページではその点について注目します。

不眠

不眠対策として、眠る前にはスマートフォンやパソコンの画面を見ないように言われます。スマホやパソコンの画面から出るブルーライトは太陽の紫外線の次に波長の短い、強いエネルギーを持つ光です。

本来なら朝一で浴びるべき強い光を、夜間に浴び続けることにより体内時計がおかしくなってきます。画面から生じる強い光もそうですが、オンラインゲームをすると脳内で大量のドーパミンが出ます。その量は覚せい剤をしたときに匹敵するといわれます。

ドーパミンの大量放出により興奮して交感神経が活発になり、とても眠れる状態ではなくなります。ネットゲームのしすぎにより、慢性的な不眠状態に陥ります。

人間は睡眠を必要とする生き物ですから、夜間眠れなかった分はどこかで取り戻そうとします。結果として昼間に強い眠気がやってきます。それは次に挙げるような成績低下にも関係してきます。

成績低下

夜遅くまでインターネットゲームをやりすぎてしまい、翌日の学校を遅刻や欠席してしまうことがあります。現に学校の勉強がおろそかになり、成績がどんどん低下して留年や中退といったことが生じています。

文部科学省が全国学力テストに基づき分析した調査結果によりますと、スマホの使用時間が長い生徒ほど成績が悪い傾向がみられました。これが大人であるとどうでしょうか。

海外の研究ですが、スマホの使用時間が長い人ほど仕事の業績が低下しているという結果に加え、対人関係のトラブルも多いという報告が出ています。成績低下や業績低下には次に挙げる脳の機能低下も大いに関係しているようです。

頭が悪くなる

オンラインゲームをしすぎてしまい、眠くて集中できず、成績が低下するといったことが生じるのは理解できることです。しかし、インターネットゲーム依存症の本当の怖いところは後遺症にあります。

オンラインゲームをやるようになる前と、ゲームを完全にやめてしまった後とでは脳が変わってしまうのです。脳へのダメージとしてわかっているのは、注意力や集中力の低下、記憶力、計画性、柔軟性、同時に物事を行うなどの能力の低下です。

要するに「頭が悪くなってしまう」のです。これは長期間オンラインゲームをした人ほどその影響は強く表れます。そして、ゲームをやめても脳は元の状態には戻らなくなってしまいます。

憂うつ気分や無気力

ドーパミンは達成感を味わったり、喜びを感じた時に分泌されるホルモンです。また、それ以外に集中するときにも使われるものです。オンラインゲームで長時間集中するとその分だけドーパミンが用いられます。

ドーパミンが底なしに生成されるものなら問題ないのですが、生産量には限界があります。大量に生産・消費されてしまうと、回復までに時間もかかります。

また、薬を飲み続けるとだんだん効かなくなる「耐性」というものが人間の身体には備わっています。これはドーパミンの使用にも働きます。

つまり、ドーパミンを大量に使用すると、脳に耐性ができてしまい、より多くのドーパミンがないと働かなくなってしまうのです。

オンラインゲームにより、ドーパミンの生産量は落ちるうえ、より多くのドーパミンを必要とする脳の状態が出来上がってしまいます。

ドーパミンそのものは普段の喜びや気力に関係していますから、欠乏することにより、憂うつ気分や無気力が生じてしまうのです。あまりにものめり込むと症状は悪化し、うつ病状態になってしまうことがあります。

人間関係が退化

インターネットゲームの世界に浸ると、現実世界での人間関係が衰退してゆきます。今までのように友達と遊びに行かなくなったり、家族と過ごさなくなります。人への関心も以前ほど感じられないかもしれません。

リアルな人間との関わりが減少すると、対人緊張や集団に対する不安が強まり、人の中に入っていくことに強い不安や恐怖を感じるようになることがあります。周囲の人を煩わしく感じたり、不快な存在、あるいは敵と思うこともあります。

他人の視線やささいな言葉に過敏に反応して嫌な思いをし、人間関係が退化していくことが生じます。結果として消極的になり、引きこもりになったり、現実よりもネット世界のほうにさらに心を奪われます。

キレやすくなる

オンラインゲーム依存では、神経が過敏になり、イライラや攻撃性の増大、敵意がよく見られるといった、「キレやすい」人間が出来上がってしまいます。

ゲームをしていないとイライラするといった離脱症状に加え、感情の暴発を抑えたり、感情の安定に寄与する脳の部分が壊れてしまうためと考えられます。

マイナス思考

インターネットゲーム依存に陥っている人を調査すると、思考のパターンがマイナスになっていることが分かっています。たとえば、否定的・悲観的な考え方をする傾向があります。

自分に対しても家族や他人に対しても、将来に対しても悲観的に見てしまいます。また、自分の望み通りにならないこと、自分の思いと反することがあると、すべてを否定し、「どうにでもなれ」といった自暴自棄的な思考に突き進んでしまう傾向も観察されています。

ほかには、被害的思考の傾向もみられ、「周囲はすべて自分を攻撃する敵だ」という歪曲した認知を抱きやすくなっています。

よくある思考の一つは、自分はリアルな世界では誰からも愛してもらえず、認められないのに対し、ネットの世界では必要とされるという認知です。こういった認知はますますネット依存を加速させてしまいます。

身体症状

ネット依存は身体のあちこちに不調をもたらします。

たとえば、画面を近くで何時間も見続けるため、視力の低下を招いたり、まばたきが減少することによるドライアイ、角膜障害などがあります。生涯使い続けなければならない唯一無二の目を傷めてしまいます。

また、そのような眼精疲労による頭痛、座り続けることによる腰痛、痔の悪化、クリックしすぎによる腱鞘炎(けんしょうえん)や手根管症候群、強い光によるてんかん誘発、運動しないことによる肥満、食べないことによる痩せすぎなどがあります。

長時間一定姿勢のため、肺塞栓症(心臓から肺へ血液を運ぶ血管に、血液の塊、脂肪の塊、空気、腫瘍細胞などが詰まり、肺動脈の流れが悪くなったり閉塞してしまう病気)などの命に関わることもあります。

このようにインターネットゲーム依存には割に合わない多くのデメリットがあり、罠に陥る人の人生を狂わせる可能性を秘めているので、その危険に注意してまいりましょう。