境界性パーソナリティ障害 見捨てられまいと必死になる

大きな感情の浮き沈み

境界性パーソナリティ障害の人と接した時、その人のことをあまり知らない(例えば初対面のような)場合、それとは気づかないものです。むしろ、第一印象はいたって普通、もしくは、良いものです。

境界性パーソナリティ障害の特徴的な症状である「見捨てられ不安」は、だんだんと親しくなるにつれ顔を見せ始めます。これは、相手が家族であれ、友人であれ、恋人であれ、主治医やカウンセラーや上司、援助者など、立場に関係なく表れます。

相手が自分にとって大切と思える存在になるほど、その不安の度合いが強まります。

少しでも冷たい態度をとられたり、嫌がられているような素振りを見せようものなら、「見捨てられるのでは」という不安のスイッチがオンになります。

相手の取るに足りない、ささいな態度から推測し、自分のことを邪魔者扱いしている、自分のことを見捨てようとしていると、一気に極端な結論を出してしまいがちです。

この負のスパイラルに陥るとますますブレーキがききにくくなり、自分が何の価値もない存在に思え、急激な自尊心の低下を招きます。

こうなると、悪い流れになんとか飲まれまいとして、必死に相手にしがみつこうとします。初対面の頃には想像もできなかったその変わりように相手は驚き、戸惑うばかりです。

先読みしてしまう傾向

境界性パーソナリティ障害の人はその根底に「見捨てられることへの恐怖」があるため、まだ裏切られたり、拒否されたりしていないのに、先読みしてしまい、そのように思い込んでしまうことがあります。

気持ちがそのような思い込みにとらわれてしまうと、自然と言葉や態度にも表れ、過剰な反応をすることが珍しくありません。

そうなると、もともとそんなつもりのなかった相手も「平穏でない日常」に次第に心理的な負担を感じ、距離を取るようになったり、冷たくなったりしてしまいます。

見捨てられ不安が強まると、感情的に不安定になったり、逆ギレして攻撃したり、衝動的な行動へ走ったりすることがあります。自分の受けた傷を思い知らせようとして、相手を困らせる行為を繰り返す場合もあります。

このような人間模様は予想できることですが、お互いに多大のエネルギーを消費してしまい、長続きしにくい要因となります。

逆説的ですが、自らの行動が最も恐れていた「見捨てられる」という結果を招き寄せてしまうのです。