繰り返しマイナスのことを考えてしまう反芻(はんすう)思考

牛

人間は食べ物を口にしたとき、食べ物は口の中の歯で細かくされてから飲み込まれ、胃で消化されます。このように人間の場合は、食物は口から胃への移動という一方通行の形式です。

しかし、牛や羊などのある種の哺乳類の場合、食物は口の中と胃の中を行ったり来たりします。一度胃に行ったはずの食物がまた口の中に戻ってくるわけです。そのような過程の中で食べ物が消化される仕組みになっています。これは反芻(はんすう)と呼ばれています。

ネガティブな人や憂うつになりやすい人、実際にうつ病などの心の病を発症している人によく見られる共通の特徴に「繰り返し考えてしまう」というものがあります。それも、たいていの場合、消極的なことやマイナスのことを考えてしまうというものです。

繰り返し考えてしまう「とらわれ状態」

マイナスのことを繰り返し考えてしまう状態は、動物が食べた物が口から胃へ、胃から口へ同じ所を何度も行き来するという例えから「反芻思考」と呼ばれています。

反芻思考に陥っている時、人間はそのことを絶えず考え続けてしまうため、切り替えてリラックスすることができなくなっています。

この問題のやっかいなところの一つは、自らが反芻思考に陥っていることにすら気づかないところです。

言われたことや心理的衝撃などを頭の中で引きずり続けるため、気持ちもすっきりせず、うつ状態になりやすくなります。

ですから、日頃から自分自身の思考の癖を知っておくことや、切り替えの方法を身につけておくことが大切です。

切り替えのためのアイデア

繰り返しマイナスのことを考えてしまう反芻思考からの脱却のために、日頃から切り替えの訓練をしておくことができます。

そのためにどんなことができるでしょうか。切り替えの方法として簡単ながらも有効なのは、体を動かしたり、どこかへ移動することです。同じことを繰り返し考えてしまうことは、特にじっとしている時に生じやすいからです。

体を動かすためにできることは、運動したり、買い物にでかけたりして、文字通り自分の場所を移動することです。身体を動かすことにより、頭の中もリフレッシュすることが狙いです。

できる他のこととして、反芻思考に陥っていることに気づいた時には、次のように自問することができます。

「このことを考え続けて、何か役立つことがあるだろうか。何かプラスになったり、得になるだろうか。考え続けることで物事が変化するだろうか」

考え続けた結果、得るものがあったり、プラスになったりするのなら、それは考え続ける価値のある事柄ではないでしょうか。しかし、そうでない場合、思考の無駄であり、エネルギーや気力を無駄に消費するだけです。

ですから、そのようなときには、「考えても同じことは考えるのをやめる」のが良いのです。

考えるのをやめるときに、自分でするしぐさやちょっとした儀式のようなものを習慣づけておくこともできます。大きく息を吐いたり、頭をブルブルっと振ったり、「ストップ」と声に出して言ったり、腕にはめた輪ゴムをパチンとしたりするなどが挙げられます。

こうしたことは、思考停止法という認知行動療法の技法のひとつです。役立ちそうなものがあればぜひ実践してみてください。いろいろな方法を駆使して、反芻思考の罠から抜けだしてまいりましょう。