うつ病(大うつ)の特徴 罪悪感と自殺念慮

罪悪感

うつ病の症状としてやっかいなもののひとつは、罪悪感や無価値観です。罪悪感は、自分が行なった過去の言動を悔いたり、起きてしまった事柄を自分のせいにしたりすることです。

あの時こうすればよかった、ああすればよかったとくよくよ考えます。いつまでも自分の過ちを考え続けて自分を責めます。

また、何も責められるような悪いことはしていないのに、自分は重罪を犯した犯罪者などと思い込む場合があります。そのようなものを「罪業妄想」といいます。

ほかには、経済的に困っていないにもかかわらず、莫大な借金がある、一文無しになってしまったなどと思い込む「貧困妄想」と呼ばれるものがあらわれることもあります。

自分に価値を見いだせない

自分を責めることであれ、何らかの妄想であれ、ひとつの考えにとらわれてしまいます。そのことをいつまでもくよくよと考え続け、他の人に何度も確認したり、尋ねたりします。

無価値観は、自分の存在そのものが無意味に思え、「この世に生きていても仕方ない」、さらには、「周りに迷惑ばかりかけている自分のような者はいない方がいい」などと考えてしまうものです。

自分のことを極端に消極的にとらえ、「自分はダメ人間」、「生きる資格がない」、「自分は何もできない情けないやつ」などと考え、やたらと自分を非難します。

こうした症状が進むと、自分にまったく関係のないような世の中の悪い出来事でさえ、自分のせいであるかのように感じてしまうことがあります。脳の中で自分を責める思考回路が完成してしまうのです。

罪悪感や無価値観は強くなると次に述べる自殺への思いへと向かわせる力となります。

自殺念慮

自殺念慮とは自分がこの世からいなくなることを願い、また、気持ちの沈み具合があまりにもひどいために、自らの命を絶つ考えのことをいいます。うつ病になるとこの自殺念慮が高い頻度でみられるようになります。

症状の出現の仕方は様々で、突発的に死ななくてはならないと考える人もいれば、こうした考えが時々頭に浮かぶ人もいます。この症状が強く出ている人であれば、死に対する考えが頭から離れず、常にそのことを考えてしまいます。

実際に自殺の計画をしたり、実行することもあり、欧米の研究では、うつ病で入院した人の約15%の人が自殺で命を落としています。実際に亡くなってしまう人の数が15%ですから、未遂に終わる人や実行に至らない人も考えると、うつ病になった人のほとんどがこの症状に悩まされることもうなずけます。

うつ病になった時は自分の気持ちを制する力が弱くなりますから、普段ではブレーキのかかることでも行動へと発展しやすくなります。

よくなりかけた頃が要注意

一般的にうつ病が少し回復し、よくなりかけている頃が最も危険と言われています。うつ病の症状がひどいときには、自殺念慮があっても、実際に行動に移すエネルギーが湧いてきません。

しかし、少し症状が良くなると、死にたいという気持ちを行動に移すだけの力がありますから要注意です。うつ病が回復に向かい始める時、外見や言葉、行動に変化が現れます。そうした変化は本人を見守ってきた人が見ればすぐにわかるものです。

周囲の人はうつ病の人のわずかな回復の兆しに気づきますが、回復初期の段階では、患者本人はそのような変化を自覚できていない場合が多くあります。

そのようなときに、周囲の人が「ずいぶんよくなってきたね」などと嬉しい気持ちから声をかける気持ちはよくわかりますが、本人は回復していると思っていないので、周囲の声と本人の気持ちにズレが生じてしまいます。

そうなると、患者本人は、自分のつらさがわかってもらえないと思ってがっかりしてしまいます。周囲の人がうれしくなって言う「よくなってきたね」の言葉が胸に刺さるのです。

自分の気持ちが否定されたように感じた患者は、気持ちが誰にも理解されないというその思いから、絶望的になって死ぬことを考えるようになることがあります。

うつ病の患者を見守る人たちは、良い変化に気づいたとしても、騒ぐことなく、静かに本人が自覚できるようになるまで見守る態度が必要になります。