うつ状態の動物が作られる方法「おぼれさせる」

浮き輪

うつ病などに効くことが期待される新しい薬が開発された場合、いきなり人間に処方されることはありません。まずは動物で試してみて、その効果の程を測ります。

ですから、うつ状態になっている動物が必要とされるわけですが、そのような動物は人為的に作られます。どのようにして人間の手でうつ状態の動物を作り上げるのでしょうか。

その方法を知ることは、ある意味で、どういう状態で人がうつになるのかを示しています。

動物に無力感を抱かせる

動物に対し、人為的にうつをつくり上げるために使われる方法は、「強制水泳試験」と呼ばれるものです。

これは、ぬるま湯を溜めた円筒形の水槽にネズミを入れるもので、水槽に入れられたネズミは壁面を這い上がろうとします。しかし、壁面がツルツルしているので、滑ってしまい、這い上がることができません。

そのため、何度這い上がろうとしても、そのたびに水の中へ落ちてしまいます。その状態で10分ほど格闘すると、ネズミは疲れ果て、逃れることを諦めるようになります。自分の体が水に沈むことにも無抵抗になります。

そのようになったネズミを救出し、しばらくしてから、再び同じ円筒形の水槽に入れると、今度は2分もしないうちにもがくのをやめて無抵抗になります。この状態が「うつ」だと考えられています。

人間の場合のうつ

人間のうつも基本的には似ています。自分の力ではどうすることもできず、絶望感を抱くと、向かい合おうとする気力が萎えてしまいます。

過酷なノルマを背負わされ、失敗や非難の不安に怯えながら、長時間の労働を強いられている多くのサラリーマンはある意味で、水槽の中でもがくネズミのようです。

どうしようもない水の中から救いだしてもらえればなんとか元気を保つことができますが、そうでない場合、やがて限界がきて、うつ病を発症してしまいます。

ネズミの場合は、うつ状態に陥っても、1日か2日休ませれば、元の状態へ回復しますが、人間の場合、回復にはもっと多くの時間がかかってしまいます。

発症するケースはほとんどの場合、自分が絶望的な水槽の中でもがいている状態にありますが、それでも頑張り続けてしまいます。

うつ病はまじめで几帳面、こだわりが強い人がかかりやすいと言われています。職場においては、責任感が強く、勤勉、対人関係においては、誠実で権威や秩序を尊重し、道徳心が高い傾向があります。

そのような性格の持ち主が、発症しやすいストレスの多い「水槽」の中のような状態に置かれるとうつ病に陥ると考えられています。

自分の性格を大切にしながらも、現実に自分が直面している問題にていねいに対処していくことがうつの予防や改善のために大切になってきます。