愛着障害の克服 愛情を注いでくれる存在

yearning

愛着の原点は子供と親との関係で生じます。必要な愛情を必要な量だけ注いでもらった子供は安定した愛着スタイルをもつようになります。

しかし、なんらかの理由で親に十分な愛情を注いでもらえなかった場合、愛着障害を抱えるようになります。

幼いころ、愛着が形成されると、子供は母親と一緒にいることに安心感をもつようになります。次第に母親がそばにいなくても安心していられるようになってきます。

安定した愛着が生まれることは、その子の安全が保証され、安心感が守られるということでもあります。

アメリカの発達心理学者メアリー・エインスワースは愛情のこうした働きを「安全基地」と表現しました。

子供にとって、愛情を注いでくれる対象が安全基地というわけです。それは基地のような存在で自分自身を守ってくれます。

親との関係の改善

もともと愛着の障害は親と子の間に生まれるものですから、それを修復するにも、親子の関係の改善が望ましいといえます。これには双方の理解と謙虚さ、歩み寄りが求められます。

何歳になってからでも双方が生きている限りトライできますが、まずはお互いが問題を抱えていることを認めなければなりません。

「自分はまったく悪くない、悪いのは子供だ、親だ」といっているうちは改善への道は遠いのです。謙虚になって、接し方・関わりかたを変えるようになれば、問題に真摯に取り組むことができます。

親代わりとなる第三者の存在

しかし、現実は親の協力が得られないこともしばしばですし、そもそも親が他界するなどして接触が物理的に無理なこともあります。

親の協力が得られるのが一番ですが、困難な場合、親代わりになる第三者の登場と関わりが重要になってきます。

その第三者が親が果たしてくれなかった、愛情をそそぎ愛情基地になるという役割を一時的に、あるいは数年単位で肩代わりすることが必要になってきます。

そうすることで、愛着障害を抱えた人は愛着を築き直す体験をし、愛着の障害を克服してゆくことができます。

安全基地は心のよりどころ

愛情を注いでくれる第三者は安全基地とも言えます。

安全基地とは、不安になった子供がいつでも母親のもとに行って安心できるように、いざというとき頼ることができ、守ってもらえるような居場所でなければなりません。そこを心の拠り所・支えとするのです。

それは、外の世界を探索するためのベースキャンプとも言えます。癒やしと休息の場、英気が養える場なのです。

トラブルや危険が生じた時にはいつでも逃げ帰ってきて助けを求めることができますが、束縛されるわけではありません。

良い安全基地というのは、本人の主体性が尊重され、必要とされる要求や助けに応じることができるものです。

次第に回復へ

気持ちがまだ不安定で心細さを感じるうちは安全基地に何度も帰り、その助けをかりますが、回数を重ねるに連れて気持ちが安定するようになり、安心と自信を身につけるようになります。

そうなると、安全基地に頼る機会も少しずつ減少し、次第に自力で行動することができるようになります。

さらに成長すると、安全基地に帰ってこなくても、心の中で安全基地のことを思い描くだけで十分になり、安心感を覚えます。これこそが究極の安全基地なのです。

愛着障害は誰もが必要とするこのような「安全基地を持つことができなかった病気」ということができます。そのような障害を克服するためには、良い安全基地になってくれる存在がぜひとも必要なのです。