トラウマ(心的外傷)の経験者は、トラウマとなった事柄を意識の中で再体験している場合が少なくありません。自分ではそれを制御できないのが普通です。その結果、以下のような症状が表われることもあります。
- フラッシュバック―その出来事が再び起きているように感じる
- 悪夢を見る
- 大きな音がしたり、だれかが後ろから急に現われたりするとひどく驚く
- 情緒不安定になり、冷や汗をかく
- 動悸や息切れがする
- その出来事を思い出させるものを見たり、聞いたり、感じたり、またその時のにおいや味がしたりすると、動揺する
- 不安や恐れ―危険な目にまた遭うのではないかと心配になる
- そのことを思い出させる物や状況に遭遇すると、にわかに不安や怒りや動揺を感じて、感情をコントロールできない
- 意識を集中させたり、はっきり考えたりするのが困難になる
- 眠れなくなり、眠ってもすぐに目が覚める
- 落ち着きがなく、いつも警戒した状態になる
- 何も感じなくなり、感情が麻痺する
- 愛情を持てない、あるいは感情の起伏が少なくなる
- 周囲が奇妙に、あるいは非現実的に感じられる
- 以前は楽しんでいた事柄に対する関心を失う
- トラウマとなった出来事の重要な側面が思い出せない
- 周囲の世界や自分に起きている事柄から切り断たれているような気がする
PTSDと診断するための基本的症状
以下の3つの症状が、PTSDと診断するための基本的症状であり、これらの症状が、危うく死ぬまたは重症を負うような出来事の後、1ヶ月以上持続している場合にはPTSD、1ヶ月未満の場合にはASD(急性ストレス障害)と診断されます。(DSM-5による)
- 精神的不安定による不安、不眠などの過覚醒症状
- トラウマの原因になった障害、関連する事物に対しての回避傾向
- 事故・事件・犯罪の目撃体験等の一部や、全体に関わる追体験(フラッシュバック)
通常、人間は精神的に強い衝撃を受けると、精神機能はショック状態に陥り、パニックを起こす場合があります。そのため、その機能の一部を麻痺させることで一時的に現状に適応させようとしていると考えられます。
そのため、事件前後の記憶の想起の回避・忘却する傾向、幸福感の喪失、感情鈍麻、物事に対する興味・関心の減退、建設的な未来像の喪失、身体性障害、身体運動性障害などが観察されます。特に被虐待児には感情の麻痺などの症状が多く見られます。麻痺も通常では耐えられない苦痛への身体の適応と考えられます。
精神の一部が麻痺したままでいると、精神統合性の問題から身体的、心理的に異常信号が発せられます。そのため、不安や頭痛・不眠・悪夢などの症状を引き起こす場合があります。
とくに子供の場合は客観的な知識がないため、映像や感覚が取り込まれ、はっきり原因の分からない腹痛、頭痛、吐き気、悪夢が繰り返されるようです。
一部Wikipedia「PTSD」より引用